山での遭難について

先日の中央アルプス縦走中、安平路山へ向けてヤブこぎしているとき、笹薮の中で不審な荷物を見つけました。
場所は袴腰山の広いピークから北へ下ったところで、登りの時間で5、6分です。
比較的踏み跡が明瞭なところで、踏み跡を追ってヤブこぎしていると、藪の先に突然ザックのようなものが目に入った。
そこまで行ってみると、まぎれもなくザック。踏み跡の上に銀マットが敷いてあり、その上にザックやギアバッグが置かれていた。
ついさっきまでここで寝てました・・・そんな感じだった。

「ずいぶん大胆なビバークだな」と、まず思った。
最初は近くに人がいるものと思ったのだが、どうにも人の気配がない。「おーい」と声をかけてみても返事はない。
まいっか。
いったんその場を離れて先へ進んだ。

「踏み跡がわからなくなるのが嫌で、踏み跡の上でビバークしたんかね」などと話しながら袴腰山へ向ったのだが、どうにも気になる。
どう考えても普通じゃない。こんな時間に(10:00頃)、ビバーク態勢のままでいるだろうか?銀マットを広げたままどこかへ行くなんてことがあるだろうか?
もう一度戻って確認することにした。

「おーい」と何度か声をかけてみたが、やはり返事はない。
いったい本人はどこへ行ってしまったのだろう・・・。
用足しにでも行って荷物の場所に戻れなくなってしまったのだろうか?それともなにか不測の事態で動けなくなってしまったのか?

何か本人を特定できるものはないかと荷物を確認してみると、ギアバッグの中に貴重品と思しきものが一式入っていた。
9月27日の高速バスの予約票のプリントアウト・・・どうやら9/27のバスで駒ヶ根に来たらしい。
9/27と言えば御嶽が噴火した日ではないか。もしかして御嶽で遭難したと思われていまいか・・・そんなことも考えた。
他には・・・suica、図書館で借りた文庫本、(いくらか数えちゃいないけど)けっこうな額の現金、携帯電話に、家の鍵と思しきものまである。
そして・・・あったあった。本人の保険証のコピーと緊急連絡先。これで確実に本人が特定できる。

保険証のコピーと緊急連絡先を写真に撮って、ひとまずその場をあとにした。
山から下りたら警察に届け出よう、ということにして先へ。
で、次の日の夕方、飯田駅前の交番に届け出ました。

結論を言うと、幸いこの方は無事でした。
届け出た翌日に警察から電話があり、10月1日頃ヘリでピックアップされたと知らされました。荷物は回収不能のため、本人了承の上で残置したということだった。
たったあれだけの荷物が回収できないというのはどういう状況だったのか、詳しいことはわからないが、とにかく本人が無事でなにより。

こんなところでヘリにピックアップされたのはお粗末な話ですが、今回一つ感心したことがあります。
この方が保険証のコピーや緊急連絡先をしっかり携行していた点です。
それもかなり入念なもので、まずは緊急連絡先として妹さんの自宅と携帯の電話番号。それから、どこかの山岳救助機構に加入しているらしく、その会員番号と連絡先。さらには、本人によると地元対応が困難な場合の救助隊要請として、都岳連の連絡先まで書かれていた。
抜かりなく、言わば完璧な状態。

救助は本人が要請したものなのか、それとも下界で心配した別の人が要請したものなのか、そのあたりのことはわかりません。たぶん本人が要請したんでしょうけど、救助要請に使ったはずの携帯電話や家の鍵を含め、貴重品一式まで残置されていた点が解せない。
ま、いずれにせよこんな調子だから、おそらく現地にも計画書を出していたことでしょう。
定かではありませんが、ここは重要なポイントです。

例えば先日噴火した御嶽ですが、計画書はおろか、誰にも何も告げずに出かけていた人がけっこういるのではないでしょうか(噴火一週間前の自分たちのように・・・)。
噴火さえなかったら厳しいところはまったくなく、ただ歩いていれば山頂に着く山ですから、いかにもありがちです。
そうすると、実際に災害に遭われて行方不明になっている方というのは、警察発表よりかなり多いのではなかろうか・・・そんなふうに思っているんですけど、どうなんですかね、実際のところは。
仮に、例えば一人暮らしの人が、誰にも何も告げずに御嶽に出かけていてあの災害に遭ったとすると、もし亡くなっていても誰にも気付かれないのではあるまいか。
もし登山口まで車で行っていれば、車から簡単に割り出せるでしょうけど、公共機関で行っていたとしたらアウトではないでしょうか。自分たちの場合のように自転車だったとしても、まずわかりそうにない。まさに行方不明ということになってしまう。
そんなふうに考えると、ちょっと怖くなる。

緊急連絡先を携行したり計画書を出したりというのは、救命のためというのはもちろんなんですけど、むしろ遺体を捜したり身元を特定するのに役に立つんですね。
関連した話でこんなのがあります。
・・・冬の剱に入る場合は予め決められた日数以前に富山県警に計画書を提出するんですけど(パーティーの中に冬の剱に入った経験者がいないと許可が下りない)、入山するときに警備隊で山タン(発信機)というものを受け取ります。これは要するにビーコンみたいなものなんですけど、用途は主に死体捜索用。長時間にわたって電波を出し続けるので、春になったらヘリを飛ばして付近の山域を探索するようです。

行方不明、というのは残された人にとって辛いことです。
遭難して死体が出てこないというのは山ではよくあることですけど、万一のとき役に立つかもしれないので、緊急連絡先とか計画書とか、そういった備えはやはり必要だと今回の件で強く実感した次第です。

それからもう一つ。別の観点で思ったことがあるんですけど、それは・・・警察って大変だな、ということ。
もし今回の件が遭難事件だったとしたら、位置的に飯田警察の管轄になるのだろうか。
道のないところだから、ヤブこぎをして現場まで行かねばならない。
大平宿から入って今回の自分らのコースを逆から辿るか、もしくは松川町の鳩打峠から烏帽子岳経由で主稜線に出るか。いずれにしても大変な行程になります。
御嶽のように道のあるところならまだしも、こういった道のない山での捜索活動というのは非常に困難。
雪山なんてもっと大変だ。下手をすると二次遭難なんてことにもなりかねない。
でも、それでも行くわけです、仕事ですから。警察のほかに場合によっては自衛隊も。
非常にご苦労なことだと思います。

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踏み跡を追ってヤブこぎしていると突然・・・               現場に近い袴腰山の山頂付近はこんな感じ

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中央アルプス縦走 南部編 4/4 安平路山 ~ 摺古木山 ~ 飯田駅・・・おまけの大平街道旧道がディープだった件

2014/10/20(月) 曇りのち雨
安平路避難小屋 6:00 ~ 白ビソ山(2,265m) 6:30 ~ 摺古木山(2,169m) 7:20 ~ 摺古木自然園休憩舎 8:30 ~ 大平宿 10:30 ~ 飯田峠 11:00 ~ 市ノ瀬 13:05 ~ 飯田駅 15:25

昨晩、暗くなってしばらくはネズミの運動会だった。
ネズミといっても市街地にいるドブネズミやクマネズミではなく、アカネズミの類の小さなやつ。
小屋の中をトコトコ走り回られると気になってなかなか寝付けないのだけれど、彼らとしては別段こちらの荷物を狙っているわけではない(念のため食料の類は天井に吊るしたり、ザックの中にきつく密封してあるけど)。
要は彼らにとって毎日の通常業務。暗くなって行動を開始しただけであって、しばらくすると静かになった。

くもっているせいか気温は高く、5:00の気温が2℃もあった。
6:00に小屋をあとにする。一瞬だけ日の出が見えたが、すぐに雲の中に隠れてしまった。
あとは登山道を下るだけ、なのだけれど、白ビソ山の付近などけっこう笹薮が濃い。夜露が凍っておらず笹がびしょ濡れなので、カッパを着て歩いた。

7:20に摺古木山に着いた。
休憩してそのまま下る。
途中から見る紅葉というか黄葉が見事だった。カラマツの黄葉が美しい。どこか日本離れしていて、チェコとかポーランドとか、秋のヨーロッパを思い出す。
赤くなっているのはモミジかナナカマドといったところか。ちょうど1,800~2,000mあたりが見ごろになっているようだ。
ちなみに、ヨーロッパに紅葉というものはないんですね。ヨーロッパの秋は黄色一色でした。

摺古木山からの下りで二組の登山者とすれ違った。
あんな山(失礼)でも二百名山となると、平日のこんな天気の日でもやはり人が来るのかと感心してしまった。

摺古木自然園休憩舎(ここも快適に泊まることができます)に下りたのは8:30。
てっきりすれ違った登山者の車がとめられているものと思っていたのだが、一台もないのであれっと思った。林道を歩いたのか・・・感心感心、とも思ったのだけれど、単に林道が途中から一般車通行禁止になっているだけだった。
むしろ、一台は通行禁止となっているところの手前にとめられていたけど、一台はそこを突破してけっこう奥まで乗り入れていた。
けしからん。いや、けしからん以前に危ないのでやめたほうがいいです。
ここは場所によってかなり崩れているので、へたに乗り入れると、直撃は免れたにして出られなくなる可能性大です。

大平宿から摺古木自然園休憩舎まで、黒川沿いに東沢林道が延びている。休憩舎の脇に駐車スペースがあり、ちょっと前まではそこまで車を乗り入れることができたはず。
が、なにもわざわざこんなところまで一般車が入れる必要はないのではないかと思う。
林道は狭い未舗装路。場所によって少々ガレている。なにより崩落が激しく、林道脇の斜面を巨大な花崗岩が落ちてきていたりする。
歩けばいいんですよ、こんなところ。
土砂が避けられていたり、林道がそれなりにメンテされているのは、黒川が飯田市の上水道の水源になっているから。
川の水は驚くほどきれいで、飯田市も水は美味しいのではないかと想像する。

歩いていると、けっこう熊の糞がある。
今年は山のドングリが不作らしく(自宅の周りでもそんな感じがあった)、熊が里まで下りてくることも多いのではないかと思う。
この時季になると毎年思うんですけど、里に下りてきた熊ってのは射殺しないとダメなんだろうか?追い返すだけではダメなのか?
本州にいる熊ってのはツキノワグマです。北海道と違ってヒグマじゃない。
勘違いしている人も多いと思うのだが、ツキノワグマってのは実はほとんど草食です。主にドングリを食べています。
山で人とばったり会って驚いて攻撃してくることもありますが(特に子熊を連れた春先が危ない)、決して人間を食料と認識しているわけではない。通常は熊のほうから逃げていきます。
このあいだもどこかの県で、熊が豚舎に侵入したというニュースがありました。
「豚舎に熊が侵入」なんて言われると、いかにも熊が豚を襲いにきたように聞こえますが、これも単に豚の餌を食べにきただけです。発見されたとき、熊は豚舎の中で寝ていたとか。
が、結局は射殺されました。それも一度は空砲で追い払っておきながら(人家の近くで発泡することが禁じられているからだろうけど)、熊が川原まで逃げたところで射殺。なんともやり切れません。
追い払うだけではダメだったのか?一度味を占めるとまた来てしまうということなのだろうか?
駒ヶ根あたりでも毎年何十頭だったか(けっこう驚く数だった)、熊が駆除されております。
山へ追い返すだけではダメなんだろうか・・・この時季になると毎年思う。

林道を歩いている間も黄葉がきれいだった。
10:30に大平宿に到着。
いったん2kmほど車道を歩いて飯田峠まで登り返す。先日自転車で走った道だ(旧道をゆく・・・大平街道)。
自転車で走ったのは、単に興味があったということもあるのだけれど、この山行のための下見の意味が強かった。

飯田峠からは、市ノ瀬まで大平街道の旧道を歩く。
登山靴でアスファルトの上を歩くのは辛いし、なによりこちらを歩いたほうがおもしろそうだから。距離の上でも車道よりショートカットになるはずだ。
あくまで単に歩くだけのおまけのはずだった旧道歩きですが、これが予想外にディープでけっこう笑えた、というか面食らいました・・・。

道は沢沿いにつけられている。
といっても詳しい地図がないから、歩いているときはハッキリわかっていたわけではなく、たぶん沢沿いにつけられているのだろうと見当をつけて歩いていた。
これがけっこうすごい。
沢岸の斜面を延々とトラバースする感じ。
昔はもう少しきちんと整備されていたのだろうけど、こんなところを歩いて行き来していたのかと思うと昔の人はすごい!

現在、ほぼ自然にかえっていて、道はほとんど廃道になっています。
もともと個人が趣味で旧道を整備しただけ、どうやらそんなところであるっぽい。
標識の類は一切ありません。ルーファイして合っていると、たまに古いテープが見つかるといった具合。
水際を歩いたり、渡渉したり、高巻いたり。あまり高いところを巻くと沢に下りられなくなるな・・・などと考えながらルーファイしたり。気分は完全に沢下り(笑)。
熊野古道とか中仙道とか、いわゆる普通の旧道歩きを想像していくと面食らいます。

後半になると(市ノ瀬に近づくと)かすかな踏み跡が高いところを巻くようになり、これを追っていくと、眼下に堰堤が現れた。
もちろん昔はなかったものだから、ここからは旧道を整備した人のオリジナル。
堰堤の上流で右岸に渡渉するのが正解だったのだけれど、そうとは知らず、右岸は急峻で歩けそうに見えなかったから、堰堤を巻いたところで左岸を下降する。
急な斜面で、落ちるとヤバイ。
生えている木を手がかりに土壁をクライムダウンするのだが、これがまたハイマツやシャクナゲ、はたまた笹とは違って粘りがなく、ポキポキ折れるから頼りない。
で、途中まで下降してみてわかった。水線まで下りたところで、左岸はとても進めない。
かといって右岸もまったく歩けそうには見えない。もしかして行き詰ったんじゃねーか、これ・・・。

ふ~ちょっと困った・・・。
堰堤の上流に目を凝らすと、木の枝に巻かれた古いテープが見えた。
あそこで渡渉するのか・・・右岸に渡ったところでとても歩けそうには見えなかったが、ひとまずテープのところまで戻ってみることにした。
といっても、今いる場所から堰堤の上流まで斜面をトラバースするのは無理だ。トライしてみたけど、木の枝が信用できず、あと一手が出ない。とはいえ、来たところまで斜面を登り返すのも嫌だ。
結局、ちょっと登り返したところからトラバースして、無事に堰堤の上流の沢に下りることができた。

果たしてそこからは踏み跡があった。対岸からは崖にしか見えなかったところに道がこしらえてあった。よくありがちなことだけど。
道は上へ上がっていて、少し辿ると広い林道に出た。そういうことだったのか・・・。
いつしか雨が降り始めていた。
そのまま林道を歩き、市ノ瀬で車道に合流。あとはそのまま雨の県道を辿った。

適当なところまで下ればバスがあるだろうと思っていた。
猿庫の泉のところまで下ったところで雨が強くなった。いったん屋根の下に避難して、しばらく様子を見る。
状況が変わらないようなので諦めて歩き始めると、ちょっと下ったところにバス停があった。
おぉぉ・・・しかし、無情にもバスは10分前に出たところだった。次のバスは17:00過ぎまでない。まだ二時間以上ある・・・。
猿庫の泉のところで休んでいなければ・・・あるいは間に合っていたかもしれない。
諦めて、結局飯田駅まで歩き通したのだった。

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このあとすぐ雲の中に隠れてしまった・・・               白ビソ山の付近はけっこう笹薮が濃い

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摺古木山=中央アルプス縦走完了!               黄葉が美しい・・・1,800~2,000mあたりが見ごろを迎えていた

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暫し見とれる・・・カラマツがいいなぁ                   摺古木自然園休憩舎・・・快適に泊まれます

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ここからは林道歩き                            黄葉が美しく退屈はしない

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場所によってかなり崩れている                      歩けばいいんですよ、こんなところ

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こんなだから突破しようと思えば簡単にできるわけだけど・・・     ほぼ役目を終えた砂防ダム(土砂が満杯)

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林道脇にこんな淵もある・・・水は驚くほどきれい           大平宿まで下ってきた

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飯田峠から大平街道旧道に入る                   道は基本的にないと思ったほうがよい・・・

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こんなところを行き来していたのかと思うと昔の人はすごい    堰堤の上流へ、ちょっとしょっぱいトラバース

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市ノ瀬で車道に合流、あとはそのまま雨の県道を辿った

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中央アルプス縦走 南部編 3/4 越百山 ~ 安平路山・・・これぞ日本の山登り!

2014/10/19(日) 快晴のち曇り
越百小屋跡 5:45 ~ 南越百山(2,569m) 6:30 ~ 越百川源頭崩壊地 7:50 ~ 奥念丈岳(2,303m) 8:35 ~ 袴腰山(2,239m) 10:10 ~ 松川乗越 10:40 ~ 浦川山(2,259m) 11:50 ~ 安平路山(2,363m) 13:25 ~ 安平路避難小屋 14:10

昨夜は冷え込んだ。
風がなかったのはありがたかったけど、気温は低く、5:00の気温が-6℃。
湿気があってテントは真っ白。この不快さは久しぶり。

3:30に起き、いつもの手順でコーヒーを飲み、ラーメンを食べる。
明るくなった5:45に出発。まずは稜線までの登り返しのアルバイト。
途中で日が昇った。今日は昨日以上の快晴だ。

中小川沿いの道の分岐のところまで登り返し、そこから直接稜線上へ上がったが、ここは下に巻き道があるようで、そちらを辿るのが正解。
稜線上に出るとハイマツ帯で、突破するのに要らぬ苦労をした。
途中で諦めてハイマツ帯から脱出。巻き道へ下り、笹薮の中の踏み跡を辿って南越百まで。

道があるのは南越百まで。
その先は地図とコンパス頼りのヤブこぎとなる。
無雪期の中央アルプス縦走において、核心部となるのはまさしくここ。今回の自分らもまさにここを歩くために来た。
北アルプスや南アルプスを含め、主脈上で登山道が途切れているのは極めて珍しい。

南越百からの見晴らしはよい。快晴の今日は安平路山までスッキリ見晴らせる。
これから辿るべき尾根を地図と照らし合わせる。
それほど複雑な尾根ではないから、視界さえあれば特に問題はない。
が、ガスって視界のないときは、ここから先へ突っ込むのは考えたほうがよい。広い尾根だから、少なくとも自分は地図とコンパスだけで辿れる自信がない。

藪について最初に結論を言っておくと、(もしヤブこぎにグレードというものがあるならば)ヤブこぎのグレード自体は決して高くはない。
ほぼ自然にかえっているとはいえ、一昔前には道のあったところだし、藪自体がハイマツやシャクナゲなんかの潅木の藪ではなく、単なる笹薮であるからだ。
ヤブこぎをしていて、潅木の藪のようなまったく進めないという絶望感がない。それほど急な登り下りもないから、けっこう快適に笹薮を泳ぐことが可能だ。
たぶん、上越国境あたりのマイナーな沢の、猛烈な藪の詰めを経験したことのある人なら余裕です。

ただし、長い。けっこうな距離があるから、時間的な余裕を十分見ておく必要がある。
時間切れの場合は笹薮でビバークせねばならない。
平坦地は多くあるが、例外なく笹薮で、唯一、奥念丈岳の北にあるコルの崩壊地だけは快適にビバークできるかもしれない。

越百山~安平路山の間は基本的にエスケープルートがない。一度突っ込んだら、行くか戻るかの二者択一となる。
唯一、奥念丈岳から烏帽子岳のほうへエスケープできるのだが、ここも奥念丈~念丈の間はヤブこぎになる。
奥念丈からの出だしは道が明瞭であったが、先の状況は不明。いったん下ってからけっこうな登り返しとなる。

水は途中で一切補給不可。十分な量を持って入らないとマズイ。
ちなみに、この日は日差しが強烈で、(自分は水をたくさん飲むほうだと思いますが)安平路山までにほぼ2Lの水を飲みきってしまった。
夏に歩くのはかなり大変だと思う(そんな変人いないか・・・)。夏だとたぶん虫もウザイだろうし。

尾根上はずっと、基本的にシラビソの疎林で、場所によって背の低いハイマツやシャクナゲが少々生えている。
で、それらの木の間を笹が埋め尽くしているといった感じ。
笹の背丈は、多くの場合腰~胸くらいで、場所によって自分の背丈以上ある。
笹薮の中にけっこう倒木があるのが厄介です。藪で見えないから、気をつけないと脛のあたりを強打したり(死ぬほど痛い)、乗ってツルッと滑ったり、思わぬところで怪我をしかねない。

踏み跡は場所によってかなり明瞭。
なるべく踏み跡を辿ったほうが楽で早いのだけれど、無理に追う必要はない。へたに探したりするのは時間の無駄です。別に踏み跡を外してもたいした問題ではない。
自分でルーファイして進んでみて、もし合っていれば踏み跡や目印のテープが見つかる、といった程度でいいと思う。
それより重要なのは、尾根を外さないこと。これが唯一のコツと言えばコツ。尾根を忠実に辿る。
木が生えていて尾根通しに進めず、巻かねばならない場合も多々ありますが、巻いたら可及的速やかに尾根上に戻る。これが重要。

そうそう。今回持っていってよかったと思えたものがあったので記しておきます。
まず軍手。通常のグローブと別にヤブこぎ専用に持っていきました。
手を切る可能性があるので、なるべく素手はやめたほうがいいです。軍手なら引っ掛かろうが擦り切れようが気にならないので重宝します。
それからスパッツ。通常、無雪期の山にスパッツなど持っていかないんですけど、今回は重宝しました。
靴に藪のかすが入らないし、靴紐が藪に引っ掛かることもない。
自分らは持っていきませんでしたが、人によっては眼鏡の類があるといいかもしれません。時どき倒れた笹がこちらを向いていて、刺さりそうになりますから。
まさに笹薮を泳いでいる感覚になるので、水中眼鏡が一番いいかも(笑)。冗談ではなく半ば本気です。

地図とコンパスをまめに確認しながら笹薮を前進する。
奥念丈岳、袴腰山、松川乗越、浦川山、小茂吉沢ノ頭・・・と一つ一つ目標をクリアしていく。
広い尾根ですから、特にコンパスはまめに確認したほうがいいです。人間の感覚なんてまったくあてになりませんから。
特に注意すべきは下り。うまくコルに下りないと、登り返しに要らぬ苦労をさせられる破目になる。いや、苦労するだけで済めばまだいいけど、場合によって登り返すことができないなんてことにもなりかねない。
これはツアースキーなんかにも言えることですね。滑り降りるのはあっという間だけれど、登り返すのは死ぬほど辛い。まさに急がば回れ。
なんとなくで進んでしまうと、コルを外して木曽側に下りそうになっていたり、伊那谷側に下りそうになっていたりするので要注意です。

「常に地図で現在地を確認しろ」とは山岳会で口をすっぱくして教えられました。
曰く、「迷ってから地図を見ても遅い」
迷っているということは、つまりは現在地がわからないということだから、そんな状態で地図を見ても何もわからないわけです。
「迷ってから地図を見ても遅い」・・・まさにその通りです。

安平路山は(二百名山でもあるし)登りに来る人がそれなりにいると思うのだけれど、北側にはやはり明瞭な道はない。
最後の最後、山頂までヤブこぎが続きます。
ヤブこぎをしていたら突如山頂が現れた、という感じで、登頂の喜びも核心部を越えた達成感も特になく、あっけない幕切れとなった。
山頂は藪の中で展望はまったくなし。遠くから眺めて特に見映えのする山でもないし、なんでこれが二百名山になっているんだか、まったく不思議だ。

安平路山の南には明瞭な登山道がある。
時間的にはこのまま摺古木山の下まで下りてしまうことも可能だったが、せっかくなので安平路避難小屋に泊まることにした。
小屋は、安平路山を下りて白ビソ山との間のコルにある。水はちょっと手前で沢に下りてとることが可能。
ここはいわゆる避難小屋で、ただで泊まることのできるありがたいところです。

16:00を過ぎると、木曽側はすっかりガスってしまった・・・。

こういう達成感のある山行は実に久しぶりだった。
ヤブこぎなんて、わざわざ望んで苦労をしに行くようなものなんだけど、実にやりがいがあっておもしろい。
地図とコンパスを頼りに自然のままの山を歩くというのは実に痛快。
雪山というのは基本的にこれで、無雪期でも沢登りなんかは同じ感覚が得られるのだけれど、稜線歩きでこれを得ようと思ったらヤブこぎしかない。
登山道のあるところしか歩いたことがない人が一度経験したら、目から鱗だと思いますよ(もしくはトラウマとなってしまうかのどちらかだろうか・・・)。
いずれにしてもいきなり背伸びをすると遭難してしまうので、易しいところから徐々にステップアップしたほうがいいです。

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まずは稜線までの登り返しのアルバイト               途中で日が昇った

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昨日以上の快晴!                            越百の先の稜線上に出る(ここは下を巻くのが正解)

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南越百の山頂にて、これから辿る尾根をじっくり観察する

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いざ!                                    ヤブこぎの世界へ・・・

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南越百山から下ったところ                        ハイマツに乗って先の状況を見通す

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ルートに目星をつけたら突入!                    越百川源頭の崩壊地へ下る

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今日もいい天気だ(日差しが強烈)                  崩壊地のコルはルート上で唯一快適に幕営できるポイント

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見事に崩壊している・・・                         奥念丈岳山頂・・・念丈への道(の出だし)は明瞭だった

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基本は尾根を外さないこと                    ひたすら笹薮が続く・・・笹薮なんでそれほど大変なわけじゃない

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浦川山の登りを遠望する 遠目には快適そうに見えるけど・・・

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実際の登りはこんな感じ                     こちらは登りの前に松川乗越にて休憩中の図

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登り返し終了!(このあたりは比較的踏み跡が明瞭)    文字は消えてしまっているが、たぶん浦川山の山頂

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越百川源頭の崩壊地を振り返る・・・かなり規模が大きい

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前方、いよいよ安平路山                         最後の最後までヤブこぎ

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ヤブこぎをしていると突如山頂が現れる               快適な安平路避難小屋・・・戸を開けると土間があります

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中央アルプス縦走 南部編 2/4 檜尾岳 ~ 空木岳 ~ 越百山・・・天気がよければ最高の稜線歩きが楽しめる

2014/10/18(土) 快晴
檜尾小屋 5:45 ~ 熊沢岳(2,778m) 7:05 ~ 東川岳(2,671m) 8:10 ~ 空木岳(2,864m) 9:50 ~ 赤椰岳(2,798m) 10:55 ~ 南駒ヶ岳(2,841m) 11:35 ~ 仙涯嶺(2,734m) 13:00 ~ 越百山(2,613m) 14:05 ~ 越百小屋跡 14:40

快晴!最悪今日だけ晴れてくれればいいやという日に快晴!
今回はうまくいった。眺めの上では今日が山行のハイライトである。

明るくなった5:45に小屋をあとにする。低く谷間を埋めた雲が大河のように見える。
小屋からひと登りで檜尾岳。夏にここまで来ているから、ここからがいよいよ夏の続き。
主稜線上に出ると木曽側も見晴らせる。御嶽が朝日に染まる。
日の出はちょうど6:00頃。

檜尾から空木まではけっこう遠い。
熊沢岳、東川岳とピークを二つ越え、木曽殿越までいったん下ってから大きく登り返す形になる。
稜線上を南へ行くと、御嶽の北に乗鞍が見えてくる。自分の中ではヌボーッとしたイメージの乗鞍だけれど、ここから見ると堂々とした山容をしている。

道がだんだん岩っぽくなってくる。
木曽殿越へ下りながら見る東川岳の東面など岩壁といっていい様相で、こんなところがあるとは知らなかったから、ちょっとビックリしてしまった。
岩が安定していれば好んで登られていそうなところだけれど(花崗岩であるし)、残念ながら中央アルプスは地質が古く崩落が激しい。登攀の対象としては明らかに不適当である。
ちなみに、木曽殿越の「木曽殿」というのは木曽義仲のことです。義仲が実際にここを越えた(何のために?)のかどうかは知らないけれど。

空木も木曽側はずいぶん岩っぽい。
大きな花崗岩がポコポコと林立している様は、どこか屋久島の宮之浦岳周辺と似ている。

檜尾からここまで、人にはまったく会わなかったのだけれど、空木の山頂には何人かの人がいた。さらに、池山尾根から次々と人が上がってくる。
雪の残る七月頭に登ったときは、こんなところを登る人などほとんどいないのかと思ったけれど、実はけっこう人気のコースであるらしい。

山頂で休憩していると、池山尾根から上がってくる人の中に大荷物を背負った半袖短パンの白人がいた。
さすがだ。
朝はかなり冷え込んだけれど、日が昇るとグングン気温が上がり、確かに今は寒くはない。が、半袖はともかく短パンになろうかって程じゃない。というより、この時季の山に短パンという発想は日本人にはない。
白人というのは信じられないくらい寒さに強いのだ(逆に暑さには気の毒なほど弱いのだけれど)。
世界のあちこちを旅していて驚かされたし、日本でも昔、12月の八ヶ岳に行ったとき、行者小屋でTシャツ一枚のやつを見かけたときは目が点になった。

彼はアメリカ人のマット。滋賀県に住んで一年ほどになるらしい。
日本語があまりにペラペラでビックリした。これだけ話せりゃ日本中どこへ行っても楽しいだろうな。
マットは山が大好きであるらしい。日本の山をあちこち登っていたので、山の話で思わず盛り上がった。
「北岳はどれになりますか?あれですか?」と聞かれたので、「一番端のやつは甲斐駒で、隣が仙丈、その隣にあるのが北岳だよ」と教えてやると、「あぁあれが・・・」とマットは笑顔を浮かべた。
ついでに、「あそこにあるのが八ヶ岳」と教えてやると、「先月全部歩きました」という具合。槍にも剱にも登っていたし、御嶽にも噴火のひと月ほど前に登ったらしい。
へたな日本人の山好きより登っている・・・。

これから木曽駒へ向かうというマットを見送り、自分らは南へ。
時間的なこともあるのか、空木より先ではパラパラと人と行き会うようになった。

赤椰岳を越えると摺鉢窪カールが見え、そこに避難小屋が建っている。
すごいところに建っている・・・。
確かに、一見快適そうなカールの平らなところに建ってはいるのだけれど、そのすぐ先はまさに崩落の最前線。あと十年もしたら小屋ごとなくなっているのではなかろうか・・・というふうに見える。
この摺鉢窪カールは規模が大きく、伊那谷から見ると顕著である。うちからもよく見える。

仙涯嶺の付近は一段と崩落が激しい。
一段と岩っぽくもあり、一見「ここはどこ?」という岩場が出現する。
見事な花崗岩、見事なクラック。もう少し里から近ければ、小川山のようなクライミングエリアとなっていてもおかしくはない(岩が少々脆いのだろうけど・・・)。

仙涯嶺から先は状況が一変する。
それまでの岩っぽさが消え、越百山から先へ緑の緩やかな尾根が続いている。
ま、遠目にそう見えるのが実際は藪尾根なのだけれど、一見したところでは厳しさから解放されたように見えてしまう。

13:00、越百山に到着。ここからシオジ平へ下山すればうちまですぐである。
そのシオジ平へと下りる中小川沿いの道は、表向きは現在通行止め。いつからそうなのか?土砂崩れのためゲートのところまで車が入れなくなっているだけで、たぶん登山道自体は問題ないと思うけど。

今宵のテン場は、主稜線のコルから中小川沿いの道を15分ほど下ったところにある。
旧越百小屋の跡地で、すぐ近くで水もとれる。
問題は場所が狭いこと。快適に張れるのは一張り限定、ちょっと斜めになるけどがんばってあと一張りか二張りといったところ。先客がいたらちょっとキツイ。
もし先客がいたら、水だけ汲んで稜線まで登り返そう。そういう腹積もりでドキドキしながら下る。
越百から南越百にかけて、水はとれないけど幕営適地はけっこうあるから、先客がいた場合はそうしたほうが快適だ。

一応道はあるけど、けっこうな笹薮。
前に登ったときは6月だったから、藪はすべて雪に埋まっていて、このあたりはずっと雪渓を詰め上がった記憶がある。

果たして先客はいなかった。冷静に考えりゃそりゃまぁそうなんだろうけど、一瞬小躍りしそうになった。
すぐに沢に水をとりに行って、快適に幕営。

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夜明けの南アルプスの山影・・・どれがどれかわかるかな?    檜尾小屋を振り返る・・・塩見の左に富士山が見える

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低く谷間を埋めた雲が大河のように見える             檜尾岳山頂・・・いよいよここから夏の続き

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御嶽が赤く染まる                             そして日が昇る・・・日の出はちょうど6:00頃

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空木へ向かう稜線上                           ちょっと南へ行くと乗鞍が見えてくる

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檜尾尾根を振り返る・・・宙に浮いているのは八ヶ岳        木曽殿越から空木への登り返し

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木曽殿越(コルに山荘が見える)と歩いてきた稜線を振り返る・・・後ろは御嶽と乗鞍

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抜けるような青空!                  山好きのアメリカ人マットと@空木岳山頂

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南駒ヶ岳へと続く稜線

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南駒山頂から空木を振り返る・・・奥に見えるのは木曽駒、宝剣

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摺鉢窪カール・・・一見快適そうなところに小屋が建っているように見えるが、実はすごいところに建っている

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小屋のすぐ先は崩落の最前線・・・                   いったん下って仙涯嶺へ登り返す

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「ここはどこ?」という岩場が出現する                スケールはそれほどないけど・・・

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里から近ければゲレンデとなっていたに違いない        仙涯嶺から先は状況が一変し、緑の緩やかな尾根が続く

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越百山への登り                             越百山頂・・・左が伊那谷になる

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稜線から伊那谷側へ下り、越百小屋跡に快適に幕営

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Trackback [0] | Comment [0] | Category [■ 中央アルプス] | 2014.10.24(Fri) PageTop
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中央アルプス縦走 南部編 1/4 檜尾尾根・・・突き上げる先が檜尾岳という渋い尾根

夏の縦走の続きをしてきました。
檜尾岳~越百山~安平路山~摺古木山の記録です。四回に分けて報告します。
ちなみに、夏の縦走の記録はこちらからどうぞ。↓
中央アルプス縦走 北部編)・・・権現づるね~木曽駒ヶ岳~宝剣岳~檜尾岳~檜尾尾根下山の記録です。

2014/10/17(金) 快晴
檜尾橋 8:35 ~ 赤沢ノ頭 10:55 ~ 檜尾避難小屋 13:45

6:30前に自宅を出る。
夏の時と違い、今回は伊那大島駅まで村営のバスを利用することができた。ありがたや。
伊那大島駅から飯田線で駒ヶ根まで移動し、駒ヶ根駅前でしらび平ロープウェイ駅行きのバスに飛び乗る。
今回登る檜尾尾根が駒ヶ根駅から目の前に見える。やはり急な尾根だ・・・。

駒ヶ根駅からバスに乗った人は数人だった。
が、菅ノ台バスセンターに着いてビックリ。いるわいるわ・・・バスが一瞬にして満席となった。補助席まで全部使っているから本当に満員。
平日だからと考えていたのは完全に甘かった。
その先の黒川平にも何人かバスを待っている人がいたのだが、満員のため乗れず。その場で運ちゃんが無線で臨時便を要請していた。
恐るべし、紅葉の時季の千畳敷。一年のうちで一番混むのがこの時季かもしれん・・・。

困ったのは降りるとき。
まさかこんなに乗り込んでくるとは思っていなかったから、真ん中くらいに適当に座っていた。
自分ら以外は全員、終点のしらび平行き。
目的の檜尾橋に着いたところで、前の補助席に座っていた人にいったんバスの外に出てもらい、ようやく降りることができた。
ふ~ようやくスタート地点。なんというか公共機関を使うと、毎回ここまでがけっこう疲れたりする。

バス停から登山口までは歩いてすぐ。
登山口の出だしからいきなり急登である。
が、尾根の下部は九十九折りの道になるから、実際に歩くところはすぐに急ではなくなる。
誰もいない静かな尾根で、バスにあれだけの人が乗っていたのが、千畳敷のロープウェイは鬼混みであろうことが、まったく信じられない。
夏の時とは違って、足下もグチャグチャでないから快適だ。
でもまぁこんなところを登る人はかなり稀。急だし、突き上げる先は檜尾岳だし、あまりに渋すぎる・・・自分らだって夏にここから下りていなければ、決して登ることなどなかった尾根だと思う。

さて、えてして自分は入山初日は調子が悪いんです。
今回も例外ではなく、というより今回はいつも以上に調子が悪かった。
森林限界に出る頃には、なんと高山病の症状まで出始めた。なんでこんな標高で?と自分でビックリしたくらい。
頭痛がしたり、視界が狭くなったり、そんなところまではいかないのだけれど、妙に息が切れるし疲れる。あくびがこんなに出るのも普通じゃない。
「足の置き方がおかしいね」とマユミにも言われる始末・・・。

「高山病」というのはよくわからない。
なりやすい人となりにくい人がいる。
基本的には体質によるのだけれど、運動能力の優れた人がなりにくいのかというとそういうことではなく、むしろトップアスリートのような人が簡単になってしまったりする。
人によっては標高が3,000mにもなれば、明確に症状が現れると思う。
また、同じ人でもその日の体調その他によって変わってくる。
これまでの経験から、自分は比較的高山病にはなりにくいほうだと認識しているのだけれど、この日はいとも簡単に症状が出た。

今回の原因の一端は、たぶんザックの重量。
いや、決して重くはないんですよ。無雪期のたった四、五日の縦走なんだからそんなに重くなりようがない。
今回は出発前に珍しく量ってみたのだけれど、17kg。下から担ぎ上げる水4Lを含めてだから、水を除けば13kg。
まったくたいした重さでない。
が、ポイントは、こんな重量を長時間担ぐのは久しぶりだったということ。
妙に重く、いきなり妙に肩が痛い。まったく情けない限りだけれど。

山ってのは、やはり荷物を背負って歩けてなんぼ。空身でいくら歩けたって意味がない。
核となるのは体力だ。
ルートの難易度が上がったり条件が厳しくなったりすれば、登攀能力やルーファイの能力、生活技術などなど、様々な能力が必要になってくるわけなのだけれど、どんな場合にもまず必要なのは体力。
これはたぶん山に限った話じゃないと思うけど、体力さえあればその他のことはかなりカバーできてしまうもの。
登攀力がなくたって体力さえあればなんとかなってしまう。もちろん限界はあるし、高難度になるほど当てはまらなくなるけど、多くの場合は体力で突破できる、というのが経験から得た教訓です。
山の実力をつけるには、荷物を背負って山に行くしかない。今も変わらぬ持論です。

尾根の上部へ行くと、夏の時にはなかった真新しいアルミの梯子や、丸太で組んだ梯子が多数あった。
夏に下ったときはギャップが大きくてけっこう膝にきたのだけれど、そんなわけで今回の登りは楽チンだった。
とはいえやはり、「こんなもの要らないのではなかろうか」と思わずにおれない。

日陰にはところどころ雪がある。たぶん二日前に降った雪だ。
二日前、伊那谷では冷たい雨だった。御嶽山も初冠雪となり、今年の救助活動は終了とニュースで告げていた。そのときの雪。
今回は南のほうが降ったらしく、南アルプスは昨日晴れたら真っ白だった。中央アルプスは雪が降ったようには見えなかったから、昨日真っ白な塩見や間ノ岳を見てビックリした。

さて、この時季に気にしなければいけないのは水ですね。まだ雪もないし、細い沢は秋口には枯れてしまうことが多い。
檜尾尾根は避難小屋のすぐ下で水がとれるはずなのだが、とても細い沢なのでこの時季にとれるのかどうか不明。今回は安全策をとって下から担ぎ上げた。
結果的には、細いながらも水をとることは可能でした。人から聞いたところによると、ここは一年中枯れることはないらしく、凍りでもしない限り水がとれるようです。
でもまぁ何があっても不思議はないので、下から担ぎ上げるのが無難でしょう。
ちなみに、登山口から登りはじめてすぐに細い沢を何度か渡るので、そこで水をとることは可能です。

念のため水を補充し、13:45に檜尾避難小屋に到着。
誰もおらず、このまま貸し切りかと思っていたら、15:00頃になって女性の単独者がやって来た。檜尾尾根ではなくロープウェイで上がってこられた方で、この日の小屋は結局、その方を含めた三名のみ。広い小屋なので実に快適。
小屋の使用料(協力金)が一人千円なんですけど、それだけの価値はあるクオリティ。
通常、避難小屋ってのは隙間風がピューピュー寒かったりするんですけど、ここは完璧な気密性。檜尾岳山頂手前のピークの上に建っているから風通し抜群なのだけれど、外でいくら風の音がしても中は無風。
夏にのぞいた時は割れていた、入口の外扉のガラスもしっかり修復されてました。さすが!
小屋の中にはかなりの数の銀マットやシュラフも常備されています。

ちなみにこの檜尾避難小屋、一部の人の間で人気らしい。
ネットを見ると、わざわざこの小屋に泊まらんがために訪れている人もいるほど。空木の池山尾根から登り、檜尾尾根を下る人が多いようです。
そんな人気の小屋ですから、小屋のクオリティ以外に眺めが抜群!南アルプス側が見渡せます。
南アルプスは鋸から聖の先まで全部見えている。塩見の左には富士山。蓼科山から南八ツまで八ヶ岳連峰もくっきり。
さらに夜になると、駒ヶ根や伊那の夜景がきれいに見えます。

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快晴の檜尾尾根下部                        尾根から見る千畳敷・・・宝剣もここから見ると多少見映えがする

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檜尾尾根を見下ろす・・・急な尾根です                檜尾避難小屋が見えてきた

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小屋近くの水場・・・非常に細いが一年中枯れることはないらしい      本日のゴール=檜尾避難小屋

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小屋の中はこんな感じ・・・気密性抜群!               夕暮れ時・・・富士山と塩見岳

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そして左から・・・鋸、甲斐駒、仙丈、北岳、間ノ岳

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Author:nakappie
1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
信州伊那谷より~旅のこと、山のこと、自転車のこと、そして田舎暮らしのことなどなど・・・気ままに綴ってゆきます。
”おもしろきこともなき世をおもしろく”そんなふうに生きていけたらいいですね。

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