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アシナガバチとスズメバチ 【前編】 アシナガバチは益虫である

これまで、アシナガバチもスズメバチも、肉食性のハチはすべて、英語では「hornet」というのかと思っていた。
学名はもちろん、正式な名称はそれぞれ別個にあるだろうけど、日常的にはすべて「hornet」といっているのだろうと、ミツバチの「bee」に対して肉食性のハチを「hornet」と総称しているのだろうと、そんなふうに思っていた。
が、ひょんなことから、アシナガバチは「wasp」ということがわかった。

それまで自分の中でワスプといえば、「WASP」=「White Anglo-Saxon Protestant」のことだった。
白人で、アングロサクソンで、プロテスタント・・・つまりはアメリカ人の主流を占める、いわゆる筋目のアメリカ人のこと。そんなことだとばかり思っていた。
ホーネットもワスプもともに、米海軍において艦名にも使われるけど、ホーネットはともかくどうしてワスプなんて名をつけるんだろう、ともずっと思っていた。(ともに第二次大戦中の空母にその艦名のものがある。ホーネットのほうは、空母よりも艦載機の愛称としてのほうがよく知られているだろうか。今も現役バリバリのF/A18の愛称がホーネット。)

恥ずかしながら、「wasp」という普通名詞があるなんてことは露知らず、最近になってはじめて知った。
その昔、「WASP」というメタルバンドがいたことも相まって、もう中学生の頃に植えつけられた固定観念で、30年も経ってからようやく呪縛が解けたという感じ。

それはそうと、日本では日常的にアシナガバチとスズメバチは区別している。
学名や正式名称の話ではなく、アシナガバチとスズメバチは日常的に明確に区別されている。
これを英語でも日常的に区別していると知ったとき、なんだかとても新鮮な気持ちになった。

この区別は主に見た目から来ているのだと思うけど、アシナガバチとスズメバチというのは、実は見た目以上に違う。
今回はそんな話。その前編、アシナガバチについて。

益虫、害虫を問わず(そもそも益虫や害虫なんて区分は人間が勝手に決めていることだけれど・・・)、我が家では基本的に生きものを無用に殺生することはない。
その中でも特に、虫を食べてくれる肉食性の虫は重宝している。
それを我が家の益虫とするなら、「クモ」「アリ」「カマキリ」「テントウムシ」それから「アシナガバチ」あたりが差し詰め我が家の五大益虫ということになる。
他に、かなり季節が限定的だけど「トンボ」もそうだし、虫という範疇ではないけど、やはり同じ理由で、「カエル」や「カナヘビ」などは特に大切にしている。

そんな我が家の益虫であるアシナガバチ。
どこに巣を作るのも我が家では自由。(クモの巣だってそうですよ、基本的にとりません。)
今年は、ミミズコンポストを置いていた場所のすぐ上にあるものが目についた。家の軒先など、雨のあたらない場所に巣を作る。

P1210759_サイズ変更
写真は2015/9/19に撮ったもので、巣に固まって総出で巣を拡張中のところ(現在はもぬけの殻です)

ちなみに、アシナガバチによらず、蜂は一度使った巣は二度と使わない、という性質があるから、もう二度とそこには巣を作ってほしくない、という場合は、空き家となった巣をとらないほうがいいかも。
ま、その場合でも、空き家のすぐ近くに翌年巣を作ったりするんですけど・・・。

アシナガバチはおとなしい性質で、スズメバチのように攻撃的ではない。
スズメバチとて巣に近づかなければ無闇に刺したりはしないけど(時としてオオスズメバチは除く)、アシナガバチはよほど至近距離まで巣に接近したり、巣を刺激したりでもしない限り、刺してくることはまずありません。
1mくらいまで巣に近づいても攻撃してくる気配はまったくないし、スズメバチのように人の周りを鬱陶しく飛び回ること(威嚇行動)もない。

そんなおとなしいアシナガバチですが、刺されたときはめちゃくちゃ痛い。自分の経験からいえば、スズメバチに刺されるより痛い。
毒はスズメバチより弱いから、刺されてもスズメバチの場合ほどは腫れないけど、刺されたときの痛さは強烈。

刺し方もちょっと異なるように思う。
スズメバチのように、目にもとまらぬ速さで飛来して一瞬でチクッと刺すのではなく、刺す部位にとまってじっくり刺す。
場合によって何度か刺してるんじゃないかと思えるときもあり、注射のあとのように出血することもある。

自分の場合、子どものころから、刺されたのはほぼすべて藪の中で、蜂の巣があるのを知らずに藪をガサガサかき分けているときに限られている。
これはつまり、ハチとしては最終手段なわけであり、特にアシナガバチの場合は最終防衛ラインが巣のすぐ近傍であり、知らぬこととはいえ巣に触れんばかりに近づいてしまった結果、決死の反撃を受けたということである。

そんなときはどうするか、アシナガバチに攻撃されたらどうするか。
・・・速やかにその場から離れるに限る。

ときに、アシナガバチの最大の天敵は、スズメバチの一種であるヒメスズメバチ(キイロスズメバチに巣を襲われることもある)。
このスズメバチの幼虫は、基本的にアシナガバチのさなぎや幼虫のみを餌としており、成虫はアシナガバチの巣を襲って幼虫やさなぎを狩り、せっせと幼虫のもとへと運ぶ・・・アシナガバチにとっては世にも恐ろしいプレデターである。

ヒメスズメバチに巣を襲われた場合、アシナガバチにニホンミツバチの蜂球のような対抗手段があるのかというと、まったくない(泣)。
襲われればなす術がなく、全滅か、さもなくば巣を捨てて退散するかのどちらかの道を辿ることになる。
完全に一方的な捕食者と被捕食者の関係であり、その点だけを見ても、アシナガバチとスズメバチは似て非なるものである。

・・・実はそんなやつなんです、アシナガバチ。
人とは完全に共存可能であり、うまくやればむしろ、害虫とされる虫を食べてくれる益虫となる、ということを多くの人が知るべきだ。
このことはたぶん、徐々には浸透していて、最近ではアシナガバチを駆除しない自治体も増えているんじゃないかな???

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Trackback [0] | Comment [0] | Category [■ 虫と動物] | 2015.12.17(Thu) PageTop
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1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
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