冬の野宿遍路 25日目 松尾峠を越えて・・・土佐から伊予へ

2016/2/19 金
晴れのち曇り、朝-2℃
始:7:15 ~ 終:17:15 歩行:29km
(平田公園)0715 ~ 0820(39番延光寺) ~ (押ノ川) ~ 1020(宿毛)1155 ~ (貝塚) ~ (小深浦) ~ 1400(松尾峠) ~ 1520(一本松) ~ 1545(一本松温泉) ~ (一本松) ~ 1715(満倉休憩所)

今朝も冷えた。
夜露でテントが濡れ、明け方になるとその露が凍った。
そんな中、5:00前の暗いうちから公園内を歩いている元気な人がここにもいた。

コーヒーとパンを食べて7:15発。
昨日と違って日差しが力強い。今日こそ気温が上がりそうだ。

R56に出て、ローソンで軽く買い出しをしてから39番延光寺(えんこうじ)へ。
朝一の参拝はやはり気持ちがいい。
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10:20に宿毛市街に入った。
ホームセンターで念願のビニールカッパを買い、向かいにある同じグループのスーパーで食料の買い出し。
ここも冴えないスーパーで(大きいスーパーなのだが売っているものが今ひとつ)、買うものに困ってしまって予想外に時間を食ってしまった。

11:55にスーパーをあとにしてしばらく歩くと、そこにコスモスがあった・・・ショック。
コスモスは典型的な郊外店で、市街の中心部から外れたところにあるというのは知っているのだけれど、歩きの場合は事前にわかっていない限り、中心部のスーパーをスルーするのはなかなか難しい。
小さくていいから何か看板の類があるとありがたいのだけれど・・・。

コスモスの近くから、R56を外れて遍路道に入る。
山裾をなめるようにしばらく歩き、深浦の集落を過ぎると本格的な登りになる。

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深浦の集落。集落の先から本格的な登りになる。
たわわになっているのは文旦。高知は文旦の栽培が盛ん。

松尾峠までけっこうな急登だった。
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松尾峠は伊予と土佐の国境にある標高300mの峠。
南予と幡多を結ぶ街道が通り、幕府の巡見使をはじめ、旅人や遍路の通行が盛んで、享和元年(1801年)の記録に、普通の日で二百人、多い日には三百人が通ったと記されている。
昭和四年に宿毛トンネルが貫通してからは、この峠を通る者もなくなった。

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国境の石柱。(左)伊予側、(右)土佐側。
それぞれ、「従是西伊予国宇和島藩支配地」「従是東土佐国」とある。
伊予側の石柱は貞享四年(1687年)、土佐側はその翌年に建立されたもの。

国境の松尾峠を越えて伊予に入った途端、遍路道が一変する。
伊予側はきっちり整備されていて、勾配も緩く道が通されている。
江戸時代にどうであったかは知らないが(当時は土佐のほうが圧倒的に強国である)、少なくとも今はそのようになっている。
峠を境に笑ってしまうくらいの変化っぷり。
大陸にある諸外国で、国境を越えた途端に道路が一変するということがよくあるけれど、それに近い変化っぷりである。

松尾峠を越えて土佐から伊予へ来てみると、道といい人家といい、伊予はどこかきちんとしている印象を受ける。言うなればO型的な土佐に対し、伊予はA型的であるような、そんな感じ。
その印象は自分らの中で徐々に薄れていったけれど、少なくとも松尾峠を越えて一本松に入った時点では強烈に感じた。
ま、伊予の場合は宇和島、大洲、松山、今治など、土佐と違っていくつもの藩に分かれていたから、伊予とひとくくりにしてしまうのはあまりに乱暴ですね・・・。
その国ごとに色が違うのは当然で、今もその色が濃く残っていて然るべき。

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(左)愛媛に入った途端、遍路道がこの状態。
(右)ルートの案内標示も愛媛に入ったらこの状態。これはすごかったなぁ・・・高知では案内標示がことごとく不十分だったから、これを見たときは感動した。分岐で迷うことがない。

さて、今日の予定はというと・・・一本松で温泉に浸かり、その近くに幕営。そんなつもりだった。
数日前から一本松では温泉に入ろうと目論んでいた。
明日は雨の予報だから、テン場は雨を凌げる場所でなければならない。一本松にグラウンドがあるはずで、そこに目をつけていた。
温泉に入ってグラウンドに幕営。雨ならテントを張りっぱなしにできるだろうから、快適な場所に幕営できれば明日は停滞も可能。そんな腹積もりだったのだが・・・。

15:20に一本松の中心部に入る。
いったんルートをはずれ、一本松温泉に向って歩いていると、昨日と同じように高台にグラウンドが見えた。
しかも、よくよく見れば温泉のすぐ上ではないか。
広大なグラウンド施設の一角に公園の遊具が見えたとき、これはもらったと思い小躍りしそうになった。

まずはグラウンドのほうを見てみよう、ということで坂を上って行ってみると・・・工事中で立入禁止になっている。
???事情がうまく飲み込めない。
駐車場だけが工事中なのか、グラウンドの一部が立入禁止なのか?いずれにしてもこれだけ広いグラウンドのすべてが立入禁止ということはあるまい。
そう思い、温泉に行って事情を訊いてみると、国体に備えて全面的に整備しているということだった。
なんたるタイミングの悪さ!
絶・望・的。
無気力感が一気に全身に充満した。

一本松温泉はあり得ないくらい混んでいて、駐車場は車でいっぱいだった。
それだけで気分が萎えぎみだったのだけれど、一縷の望みを託して、他に近所にテン場、つまりは公園の類がないものか尋ねてみた。
受付には比較的若い男性とおばちゃんの二人がいた。
男性のほうは一応考えてくれたのだが、「ない」という返事。
おばちゃんのほうは・・・まったく聞く耳持たず。人の話は完全に流して、「でしたら今日は部屋に空きがあるから、ここに泊まってのんびりしたらどうですか」の一点張り。

やめやめ。
ここの温泉に入る気も完全に失せた。
温泉は諦めて、先へ進みながらテン場を探すことに。

ルートをはずれて無駄なことに一時間もの時間と体力を費やしてしまった・・・。
遍路道に復帰し、テン場を探しつつ40番札所のほうへ向う。

ちょうど小学生が通学班で下校していた。
子供たちが元気よく挨拶するのが実に気持ちいい。これも土佐から伊予というか宇和島に入って変わった点だ。
その挨拶がおもしろい。
学校でそう習っているのだろうけど、初対面の人に対していきなり、「さよなら」。
最初は違和感があったのだがすぐに慣れ、こちらも「さよなら」と返すようになった。

これも諸外国を旅していると時どきあることなのだけれど、はじめて会っていきなり日本語で「さよなら」と言われることがある。
もちろん嫌がらせで言っているのではなく、こちらが日本人であるとわかると(場合によってはわかる前から)、「こんにちは」のつもりで「さよなら」と言っているのだ。
子供たちにいきなり「さよなら」と言われてそのことを思い出し、思わずクスッとなってしまった。

おそらく多くの言語にとって、「SAYONARA」というのは日本語の挨拶の中で一番発音しやすい(反面、「KONNICHIWA」というのは発音しにくい)。
よって、誰かに教わったりした日本語の中で「さよなら」だけをずっと覚えているのだと思う。多くの場合、いつの間にか「こんにちは」の意味となって。
いきなり「さよなら」と言われるとちょっとビックリするけど、外国で日本語で声をかけられるというのは非常にうれしいものですね。

テン場が見つからぬまま満倉の休憩所に着いた。
そこは、ちょっと信じられないような素晴らしい場所だった。
テーブルを動かすことができ(わざわざそのように設計されている)、東屋の下にテントを張れる。
トイレはすこぶるきれい。コンセントがたくさんあり、電灯のON/OFFも自分でできる。なんと!東屋にまで蛍光灯がついている。

これらのことは、自分らが勝手にそう思い込んでいるのではなく、本当にその通りなのだ。
あまりに感動したので、ノートの表紙裏に書かれていた注意書を転載しておこう。

『歩き遍路をされてて ここでお泊りの方へ

ベンチの前の机は動かせます。
寒い時は障害者・お子様づれ用トイレの中でも泊まれます。
トイレの床に敷くマットは天井に。
センサー付の照明は消して頂いてもかまいません(朝必ず元の位置へ)。
蚊取線香・物干しロープは掃除道具入れの中・上にあります。
ゴミ処理が必要な時は、可燃物に限り掃除道具入れの中の赤い袋にお入れください(歩き遍路をされてる方のみ)。
それ以外のペットボトル・空き缶等は販売機・コンビニ等で処理されてください。
空き缶等へ煙草の吸殻・ゴミ等入れないで。
マットの上げ下ろしの時、ブレーカーのスイッチ落ちに御注意。
みんなの休憩所です。きれいに使って気持ちよくお過ごしください。
四国路でいい思い出を・・・。
又お寄りください。 』
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素晴らしすぎる。
こんな素敵な休憩所が世の中にあるとは・・・。

ひとまずフライを広げ、本体を張って乾かしている間に、外の水道で口の周りの髭を剃り、頭を洗わせてもらう。
18:00頃、休憩所を管理されている方が車で来られ、一泊させてもらう旨告げると、どうぞ自由に使ってくださいという返事。
のみならず、「今夜は荒れて雨が吹き込むだろうから、なんなら障害者用のトイレで寝てもらってもかまわんです。中から鍵かけてもらってかまわんし」とまで言ってくれた。
なんという・・・本当に、こんな休憩所が世の中に存在するとは。信じられない。

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ありがたく一晩使わせていただきます!

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Theme [四国遍路] Genre [旅行]
Trackback [0] | Comment [0] | Category [■ 003_Iyo / 伊予 26札所 360km] | 2016.05.02(Mon) PageTop
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Author:nakappie
1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
信州伊那谷より~旅のこと、山のこと、自転車のこと、そして田舎暮らしのことなどなど・・・気ままに綴ってゆきます。
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