冬の野宿遍路 32日目 たぶんここがお遍路のハイライト

2016/2/26 金
晴れ、朝-5℃
始:7:20 ~ 終:17:15 歩行:24km
(農祖峠手前テン場)0720 ~ 0730(農祖峠) ~ (越ノ峠) ~ (中村) ~ (日の出橋) ~ (槙谷) ~ 1055(八丁坂) ~ 1145(45番岩屋寺)1230 ~ 1300(八丁坂)1325 ~ (畑野川) ~ 1525(44番大寶寺) ~ (久万) ~ 1715(仰西休憩所)

思うに、お遍路のハイライトはたぶんここであろう。
寒くも楽しい一日だった。

冬のヨーロッパで経験した森のマジックは日本でも健在だった。
濡れたテントを森(日本の場合は山林だが)の中に張るとあら不思議、テントがすっかり乾いてしまう。
昨晩幕営したのはじめじめした杉林の中だったが、そんなところでもテントが乾いてしまうから本当に不思議だ。

コーヒーとパンを食べて7:20発。寒くてイヤーウォーマーとグローブをして歩く。
幕営したのは標高580mほどの地点。そこから峠までは僅か10分、標高差にして70mほどだった。
思ったより浅い山だった。

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農祖峠(のうそのとうげ)を下った馬酔谷(あぜびたに)の集落。山は思ったより懐が浅かった。

峠から下り、R33を横切って、その先の久万川に架かる橋を渡ったところで地図を確認していると、おっちゃんに声をかけられた。
今から行こうとしているルートは上り下りがあって大変、こっちから行ったほうがいいと教えてくれたのは、44番大寶寺(だいほうじ)経由で往復する道だった。みんなこっちのルートをとるということだった。
あまりに熱心に説明してくれるので、ありがたく伺う。
が、やはりそのルートはつまらなさそうだ。

おっちゃんがあまりに力説してくれるのでどうにも断りにくく、いったんおっちゃんの教えてくれた道に入り、木の陰に隠れて様子をうかがう。
おっちゃんは、心配そうにしばらく見送ってくれていた。
おっちゃんが見えなくなったのを確認して元のルートに戻る。
いったい何をやっているんだか・・・。

が、そうまでしてとったルートは正解だった。
中の村から槙の谷へと至る道沿いは、時が止まったかのよう。
特に、今は住む人のなくなった槙の谷の最奥の集落跡は、変な言い方だけど、素晴らしかった。なんともいえない郷愁をそそられる。

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(左)こちらは中の村の集落  (右)「道順等分からない事があれば、近くの従業員にお尋ね下さい」・・・なんて親切な建設会社なんだ・・・

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(左)明治十五年開校、平成二年に自然閉校となった槙谷分校  (右)木造校舎の前にかまどがあった

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(左)こちらは集会所かなにかの跡  (右)住む人のなくなった廃屋が点在している・・・こういう薪の風呂がうちにも欲しい

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(左)槙の谷の集落にある神社  (右)いい家なのにもったいない(いや、ここはまだ人が住んでいただろうか???)

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一部は自然にかえりつつある

非常に印象深い場所だった。
何年か後にもう一度訪れてみたい、そんなふうに思える場所。

八丁坂の茶店跡にザックをデポ。
ここから45番岩屋寺(いわやじ)までは往復4kmほどである。

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八丁坂の茶店跡・・・野尻から中野村を経て槙ノ谷から上がる「打ちもどり」なしのコースとの出合い場所、と説明書きにある。
七鳥村の組内三十戸ほどの人たちが、この道こそ本来の遍路道であることを示そうと、意気込みを持って延享五年(1748年)に建てた「遍照金剛」と彫った大石碑が建っている。

ここから岩屋寺までの遍路道は素晴らしい。
道を行くと、逼割(せりわり)行場に出る。
山岳修験者たちが修行を積んだであろう行場である。

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岩屋寺はたぶんお遍路のハイライトだ。
こんなグッとくる寺はこれまでなかったし、この後もないだろう。
訪れた時刻もよかったのか、寺には他にお遍路が一人いただけでとても静かだった。寺の雰囲気にどっぷり浸かった。
あまりに雰囲気がよかったものだから、当初の予定にはなかったのだけれど、岩屋寺で急遽白衣に朱印をもらった。

44番大寶寺から下の県道を来ても、この感動は得られまい。
ここはやはり八丁坂から来ないと。
できれば中の村、槙の谷を通ってくると、さらに感動が倍加すること請け合いだ。

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45番岩屋寺の山門(左)と大師堂(右)

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こちらが本堂

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本堂横にある梯子でテラスまで登れるが、これはけっこう怖い。自己責任でどうぞ!

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その名の通り、岩屋寺!
岩質は砂岩で、西上州の妙義山に近い。落石も多いだろうから維持管理が大変であろう。
なんでわざわざこんなところに・・・と思わなくもない。

岩屋寺からザックをデポした八丁坂の茶店跡まで戻ると、お遍路が一人いた。
言葉を交わすと岡山からの常連さんで、この先のテン場の情報などをいただいた。
「この道はいいね、もう他にこんな道はないやろな」
と言っていたが、まさに同感。ここがお遍路のハイライトだと思う。

八丁坂を下ると、そこからのルートはやはり退屈な車道歩きだった。
峠御堂トンネルの手前から山越えの遍路道に入る。

トンネル手前の山の斜面は、重機を使って大掛かりに皆伐していた。
愛媛のこのあたりは林業が盛んだ。
昨日だか一昨日あたりは道路沿いに製材所もたくさんあった。

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重機がおもちゃのように見える、壮大なスケールの皆伐風景。
前がほとんど見えない状態で巧みに木材運搬車を操っているが、一歩間違えれば谷底へまっさかさまという危険な場所。

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44番大寶寺・・・打ち終えて町へ下る途中に山門(右)があった

44番大寶寺を打って出発の準備をしていると、外国人のお遍路が歩いてきた。
どこか好感の持てる風貌をしていたので話しかけると、外国人が日本語を話せるとは微塵も期待してないので英語で話しかけたのだけれど、相手の喋り方がどうもたどたどしい。
これは絶対英語圏の人じゃないわ、と思ったのだが、オーストラリア人だった(笑)。
彼、オリバーは一所懸命日本語で話そうとしていたようだ。
もしかしたら簡単な会話なら日本語でできたのかもしれない。悪いことをしたかな、と後になって思った。
「歩いている?」と片言の日本語で質問されて、こちらは「イエス」と答えてしまうちぐはぐさだった。

オリバーもいきなりこちらに親近感を抱いている様子だったのだが、なんと!何日か前に温泉で自分を見たという。
そういえば臥龍の湯に入っていたとき、髭を蓄えた若そうな外国人が入ってきたのだが、実はそれがオリバーだったのだ。
いやーそうでしたか。

オリバーは高知からスタートして二週間くらいということだった。
温泉が大好きらしい。
どのくらいの頻度で温泉に入っているかと訊かれたので、十日から二週間おきくらいだよと正直に答えたら、オリバーのほうはニ、三日に一度入っているということだった。
自分らよりずっと入っている(笑)。

「(日本人の)君らにとってテン場を探すのは簡単かい?」とも訊かれたので、
「難しくはないがそう簡単でもない」と答えた。家がたくさんあって人がたくさん住んでいるから、という理由を添えて。

正直、諸外国と比べて日本は野宿がしやすいかというと、自分の経験に照らすと答えは否だ。自国の事情をよく知る日本人だからなのかもしれないけど、非常~に気を遣う。
その理由を考えてみると、一つにはオリバーに説明したとおり人がたくさんいるから。
平地が少なく、平地に対して人口が多いから、どんな辺鄙なところでもたいてい人が住んでいる。
が、最大の理由はおそらく違う。
最たる理由は、おそらく文化的なものだ。

キャンプという文化が日本にはない(浅い)。
前にもどこかで書いたけど、日本でキャンプといえばオートキャンプや林間学校、臨海学校のようなものをまずイメージするに違いない。
それはつまり花火やキャンプファイヤー、BBQのイメージに直結し、どうしても大勢でワイワイがやがややる騒がしいもの(うるさいもの)というイメージが拭えない(ま、実際そのイメージで間違ってないと思うけど・・・)。
どこかその辺の(自宅や仕事場の近くの)公園や広場のようなところに誰かがひっそりテントを張っていたとして、それを快く思う、とまでは言わないまでも許容するおおらかさは、自分を含め日本人にはないと思う。
テントを張る側のマナーの問題もあるだろうし、許容する側のおおらかさが足りないということなのかもしれないけど、いずれにしてもいろんな国でキャンプをしてみると、日本ほど野宿のしづらい国というのはそうないように思える。

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オリバーは、昨日は小田の小さな寺(たぶんどこかのお堂)に泊めてもらったらしい。
なかなかよくわかっているではないか、オリバー。
自分らと同じ日本語オンリーの地図を見て歩いているのだからすごい。自分らがアラビア語の地図を見て歩いているようなものだろう。
河合の休憩所で快適に幕営できそうだったので、今日のテン場の情報として、オリバーに地図を見ながら教えておいた。
グッドラック!

オリバーと別れて久万の町へ下る。
GSでガソリン購入。続いてセイムスで明日の夕食と行動食を買い出し。今晩の夕食は手持ちがある。
これにて幕営準備は整った。
今宵のテン場には、R33沿いにある仰西休憩所を考えていた。八丁坂で会った岡山の人も泊まれると言っていたし。

最後に寄ったサークルKから1kmほど歩いたところにその休憩所はあった。
地図を見る限りR33沿いかと諦めていたのだが、着いてみたら国道から下った川の対岸にあり、絶好のロケーションではないか。これなら車の騒音も気にならない。
すぐ近くで工事していたおっちゃんらが引き上げるところで声をかけ幕営。今日はうまくいった。
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久万はけっこう寒くて、20:00過ぎの気温が-5℃。
近くにスキー場もある。

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Theme [四国遍路] Genre [旅行]
Trackback [0] | Comment [0] | Category [■ 003_Iyo / 伊予 26札所 360km] | 2016.05.18(Wed) PageTop
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1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
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