熊野古道から 2017冬 6日目 果無(はてなし)

2017/2/6 月
始:7:30 ~ 終:15:05 曇りのち雪 朝-3℃
0550起/0730発(三浦峠) ~ (古矢倉) ~ (出店) ~ 0855(矢倉観音堂) ~ 0925(林道合流) ~ 0950(西中バス停) ~ (大津越) ~ 1145(昴の郷)1225 ~ 1315(果無集落) ~ 1410(天水田) ~ 1505(果無観音堂)

昨晩は暴風だった。
4:00前にトイレに起きたときは細かい雪も吹きつけていた。
あまりの風に起床を20分ほど遅らせる。

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峠は薄っすら白くなり、天水のタンクは蛇口が凍って使えなくなった。

強風の中テントをたたむ。
フライのジッパーが凍ってしまい開け閉めしてるうちに壊れてしまったが、ひとまずそのままにして撤収。
出発する7:30頃になってだいぶ風が収まった。

林道を渡って一歩樹林の中に入ると風がピタッとやむ。山の陰でもあるんだけど、樹林というのは本当にありがたい。
樹林の中の尾根道を西中まで一気に下る。地面がふかふかで勾配も緩く非常に歩きやすい。
途中に何箇所かポイントになるところがある。

まずは古矢倉。「熊野めぐり」に「下り道よし、三十六丁下れば茶店二軒有」と記されている場所である(距離が合わないけど)。
屋敷跡の西側に天保十年と記された地蔵菩薩座像がある。
十津川村教育委員会によると当時の戸数は一軒で、屋号を「古矢倉」といい茶店兼旅籠であったが、昭和十年には廃屋となった。
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平坦地で幕営可能である。水は三浦峠から10分ほど下ったところにある沢でとることができる。古矢倉はそこからすぐ。
ま、こんなところに幕営するより三浦峠のほうがずっと快適だけど。

古矢倉から20分ほど下ると出店(出茶屋)。
出店というのは、水がなくて喉が渇きそうな峠の近くなどへ特に往来の多い季節に限って出した店のことで、この場所には明治の末頃まで出店があったようである。水は桶を担いで下のほうから汲んできたということだ。
ここでその出店跡より目を引くのは、尾根上に延々と続く石垣。石垣で尾根上に見事な棚田が作られている。
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その昔、ここには田園風景が広がっていたらしい。今では尾根上や下の斜面に松や檜がビッシリ繁っているが、それらが丸々なかったのだからさぞ眺めがよかったことだろう。
田んぼはかなり広い。石垣を積んで尾根上に広大な平坦地を作り出してしまうのだからすごい。
しかも、出店があったくらいのところだから当然水などない。田んぼといっても天水田なのだ。田の底土を特に固め、雨水を貯めて稲を作った。昭和二十年代後半まで、谷間の釜中の人々が通って耕作していたそうだ。
いやいやいや、恥ずかしながら今の既成概念にとらわれていて知らなかった。天水のみで陸稲ではなく水稲を栽培できるなんて。
なんとも衝撃的。やってやれないことなんてないんだな・・・。

尾根の西も東も谷が深い。
出店からしばらく行くと、東側の谷を挟んだ山の斜面に今西の集落が望める。
すごいところに住んでいるように見えるが、たぶん傍から見たら伊那谷も似たり寄ったりだろうな・・・。

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さらに下ると矢倉観音堂があり、やがて林から出て矢倉で林道と出合う。

矢倉からところどころ林道を歩いたり山道を歩いたりしながらさらに下ると西中である。
すぐ下を西川が蛇行して流れ、川の左岸にR425が通っている。
古道は寸断され、しばらく国道を歩く以外にない。かつての古道は谷を渡って山の中腹についていたようである。

西中から柳本まで8kmほどの国道歩き。
ここを村のバスが一日五往復している。西中バス停に着いたのは9:50、歩いていると10:08のバスが下から上がってきて、川合神社の先で戻ってきたバスと再びすれ違った。
バスには誰も乗っていなかった。すれ違うとき運ちゃんがわざわざ速度を緩めて声をかけてくれたのだが、丁重に断った。
が、ここは割り切ってバスに乗るのもありかも。
舗装路歩きでもはじめのうちは静かでいい感じなのだが、国道沿いにいくつか集落があり、唯一の生活道路なのでけっこう交通量がある。
それはまぁいいとして、天神橋より先でちょうど護岸工事をやっていたためダンプが頻繁に往復しており甚だ不快だった。
軽同士でもすれ違えない狭い道路なので、ダンプが前から来ても後ろから来ても一度立ち止まって避けないといけない。いったい何度立ち止まってやり過ごしたことか・・・まったくタイミングが悪かった。

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(左)西中バス停  (右)西中と柳本の間を往復している村のバス

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(左)ニホンミツバチの巣箱をよく見かけた。対馬なんかと同じく丸太の中をくりぬいた蜂洞タイプの巣箱。
(右)ダンプが多く落ち着いて休める場所もない。バス停を借りて休憩。

それにしても山深い。
西中とその先の集落でこの旅はじめてサルを見た。
季節の問題か、サルは食料の豊富な人里の近くで生活しているらしい。山の中ではまったく気配が感じられなかった。

忽然と現れる、昴の里という大型の温泉&宿泊施設まで来れば一安心。この先は国道を離れられる。
トイレの前に荷物を下ろして大休止。
壁際の路上をふと見るとヤモリがいた。さすが紀伊半島!ヤモリがいるんですね。やっぱ暖かいんだなぁ。
てっきり潰れて死んでいるのかと思ったら、寒くて動けなくなっているだけだった。なんで危険な路上に出てきちゃったんだろう?
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気を取り直して果無へ。
舗装路をしばらく歩いて上湯川に架かる吊り橋を渡ると、果無峠へ登る山道に入る。
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この吊り橋が非常~に怖かった。
いや、風がなければなんでもないのだろうけど、この日は風がビュービュー吹いてたんで思わず緊張した。橋の幅がまた絶妙で、横風に煽られると異様に怖い。これが南アルプスの畑薙ダムの吊り橋くらい幅が狭ければここまで怖くないと思うんだけど・・・。
昨年の浦戸大橋ほどではなかったけど、稀に見る怖い橋だった。橋を渡るのがトラウマになりそう。

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果無集落への登り。見事な石畳の道(けっこうな急登)。

果無(はてなし)というのはなんともいい響きだ。妙に旅心をくすぐる。
地名であるから「果無○○」といろいろなものの名前についているのだが、これが会社の名前だったりするとはまりそうな印象を受ける。

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しばらく登った展望所から、ちょうど十津川が大きく蛇行するところを望める。
下流に二津野ダムがあるため水量は多く、水の流れは緩やか。護岸工事のためか水も茶色く濁っていて、とても日本の川には見えない。
ここはラオスかベトナムか・・・という感じ。
ボーッと眺めていると、向こうからワルキューレの騎行にのせて第1騎兵師団のイロコイの編隊が現れそう。

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この扉の向こうが果無集落。山上にある、マチュピチュのような天空の集落だ。

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山の上にありながら湧水が豊富で、田んぼも天水田ではない。どの家も庭先に水が引かれていて、池に鯉が泳いでいる家もある。

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この水がまた旨い。そしてあらゆるものがよくできている。
熊野古道ではこのように人家の庭先を古道が通っていることがよくある。時季によってけっこうな人が通ると思うんだけど、住んでいる人にとってどんな感じなんだろう?

果無集落より上へ行くと、道の脇に一定の間隔で観音様の石仏が祭られている。
この石仏は、柳本から果無峠を越えて八木尾までの道すがらに、西国三十三所の札所のそれぞれの観世音菩薩を順番に祭ったものである。「第一番那智山」は南の麓の八木尾にあり、果無峠は「第十七番六波羅堂」、「第三十三番華厳寺」は果無集落から東へ下った十津川岸の櫟佐古(いちさこ)にある。主に十津川村と本宮町の信者たちが講をつくり、大正十一年に建てたものであるらしい。

集落を抜けてしばらく登ると、何反かありそうな天水田の跡がある。
ここより300mほど峠寄りにあった山口茶屋の住人が稲作をしていたらしい。
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天水田の跡。後ろに見えているのは果無山脈の山々。

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山口茶屋跡。防風林だったであろう杉が伸びてやはり異様な形をしている。

さらにひと登りで果無観音堂。
今宵はここに泊めていただこう。
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観音堂の前に水が豊富に出ていて、すぐ下にトイレもある。
風がすこぶる強いのだが、観音堂とその後ろの杉の木がいい風避けになってくれた。ありがたや。
今朝方壊れたフライのジッパーは無事復活。とりあえずよかった。

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Trackback [0] | Comment [0] | Category [■ 002_Kohechi / 小辺路] | 2017.03.16(Thu) PageTop
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1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
信州伊那谷より~旅のこと、山のこと、自転車のこと、そして田舎暮らしのことなどなど・・・気ままに綴ってゆきます。
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