熊野古道から 2017冬 8日目 小雲取越

2017/2/8 水
始:7:10 ~ 終:14:25 晴れ 朝-3℃
0530起/0710発(渡瀬温泉隧道手前) ~ (川湯温泉) ~ 0755(請川) ~ 0920(松畑茶屋跡) ~ (万歳峠分岐) ~ 1010(百間座) ~ 1100(石堂茶屋跡) ~ 1150(桜茶屋跡) ~ 1300(小和瀬) ~ 1400(円座石) ~ 1425(東屋) ~ 1530(幕営)

車の音が喧しく聞こえるところで寝たのは久しぶりだが(普段自宅では聞こえないので)、思いのほかいいテン場だった。
今朝は楽々のテント撤収で7:10発。空気は冷たいが、朝から晴れて穏やかな一日。
が、明日は日本海と四国沖を低気圧が通過するため雨か雪の見込みで、停滞の可能性が高い。停滞が可能ないいテン場を見つけることが本日の第一の命題。低気圧の通過後はまた冬型になりそうである。

出発してすぐにある長いトンネル(渡瀬温泉隧道)を抜けると川湯温泉。
湯峯温泉と同じようにここも最高だ。なんというかロケーションが絶妙。
といっても別に絶景が広がっているわけではないし、冒険心をくすぐるような秘境にあるわけでもない。静かな山間にある以外これといって特筆するようなことはなにもないと言っていいロケーションなんだけど、湯治ということになるとこれこそが重要。
余計なことに気をとられることなく湯に浸かることだけに集中する、というのもおかしな表現か。無心でただひたすらボーっと湯に浸かる。
こんなところに長逗留してのんびり湯治したいものである。
ちなみに、公衆浴場は8:00から入れて250円。川の露天風呂など心付けだけで入ることができ、6:30~22:00まで入浴可能。

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亀屋の前の川の中にあるのがその名の通り、川湯温泉の露天風呂

川湯温泉のすぐ先に野営場があり、たぶん野営場自体はこの時季開いてないと思うけど、近くの川原で車にカヌーを積んだ人がキャンプしていた。
こんなところにいいテン場があったではないか。
大峰を縦走するときは前日ここに幕営して温泉に浸かれるなぁ・・・などと想像してしまった。

熊野川と大塔川が合流するところに人家が密集しているのが請川。
かつては新宮からの船着場として賑わったところだが、今は熊野川沿いにR168がズドンと通っているばかり。
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大塔川に架かる請川橋の東でR168に合流。すぐに小雲取越の登り口がある。

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中辺路は歩く人が多いと見え、道が広くなだらかで歩きやすい。
別な言い方をすれば単調で退屈である、ともいう。
イノシシがいたるところを掘り返している。すごい仕事量だ・・・(笑)。

松畑茶屋跡を過ぎてしばらく行くと、万歳(ばんぜ)峠への分岐点。
ここより分かれて東へ下る道は、妙法山の山腹の万歳峠を越えて志古へ至る。志古から熊野川を渡って伊勢街道へとつながる道である。
請川と小和瀬の間の小雲取越の道は今では中辺路のハイライトのひとつとなっているが、中世の古道は別のルートをとっていたという見方がある。西行の歌に志古の山路がはっきりと歌われていたりする。
「紀伊続風土記」によると、今の小雲取の道は後世になって開かれた道で、古の時代に那智より本宮へ往来していた道は志古から西方の山中に入って番西峠へ登り(番西道)、これを越えて四村荘大津荷村(現本宮町大津荷)に下って同荘請川に至った、とある。
請川から小和瀬まではまったく別のルートだったことになるが、今旅ではこのまま近世になって開かれた小雲取越の道を行く。

10:10、百間座(ひゃっけんぐら)に着く。
崖のことを熊野地方では岩座(いわくら)といい、百間というのは高いことを形容している。
その名の通り道が崖の上を通っていて、西の方角は開けていてすこぶる見晴らしがよい。
果無山脈がよく見えるが、大峰山脈はすぐ北東にある妙法山の陰となってしまってまったく見えない。

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百間座から望む山々。
右端(北西)に遠望できるのが果無山脈。それに連なるように西南に遠く横たわるのは大塔山系の山々。

一度林道と出合ってこれを渡り、しばらく登ると石堂茶屋跡。
ここに東屋があるが、残念ながら真ん中にイスとテーブルが鎮座していて幕営は不可。
さらに行くと桜峠。峠から少し下ったところに桜茶屋跡がありここにも立派な東屋があるが、残念ながらやはり真ん中に四角いイスが鎮座していた。
時間的に今日は大雲取越に入って適当に行動を切ることになりそうなのだが、雨の日の快適な停滞場所として狙っていたこの先の東屋はどこも望みが薄そう。

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(左)石堂茶屋跡、(右)桜茶屋跡にある東屋。本日のルート中で雨の日に停滞可能な平坦地というと、こういった休憩所の類しかなさそうなのだけれど・・・。

桜茶屋の付近はユズリハがこれでもかというくらい群生している。柚も自生していた。
やっぱ暖かいんだなぁ・・・。
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見事な大きさに育ったユズリハ

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13:00に小和瀬へ下りた。見えているのは赤木川に架かる小和瀬橋。橋を渡った対岸が昔の渡し場跡となっている。
渡し場跡はちょっとした広場になっていてトイレと東屋があるが、残念ながら付近はキャンプ禁止である。

小和瀬から大雲取越の登り口となる小口までは1kmほど。
大雲取越と小雲取越の間に位置する小口は街道の要所で、中心地の上長井には明治の頃まで十軒ほどの宿屋があった。
現在も民宿はあるが、一番大きな宿泊施設は廃校を利用した小口自然の家で、川岸にあってキャンプすることもできる。そこ以外、付近の川原はキャンプ禁止となっている。

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大雲取越の登り口

時間的に、目標は円座石(わろうだいし)の先にある休憩所とした。ここで確実に水がとれ、たぶん東屋がある。
その先の地蔵茶屋跡にもたぶん東屋があるが、水がとれるかどうか確証がないのと、林道と出合ってしまうため手前で切ることにした。

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杉の人工林がしばらく続く。いわゆる熊野杉というやつだろうか?吉野杉や尾鷲杉のように有名な杉材なのだと思う。
そうでなければ今どき杉をこれほど大事に植林しなかろう。植林した幼木を樹脂材で保護している(右)。

14:00、円座石に到着。
長さ5m、高さ2mほどの苔むした大石に、(写真ではハッキリしないが)輪で囲んだ梵字が刻まれている。
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説明板によると、「円座とは、藁や菅やいぐさで編んだ丸い座布団のようなもので、梵字は向って右から、阿弥陀仏(本宮)、薬師仏(速玉)、観音仏(那智)などをあらわし、三所の神仏がここに座って会合をしている図である」らしい。

中辺路にはまったく雪がなかったので歩いている人がいるだろうと思っていたが、円座石の説明板を読んでいるときに那智方面から歩いてきた人と会った。
九度山を発ってここまで古道を歩いてきてはじめて会う人だったが、その人はトレラン風の格好をした軽装の外国人だった(どこの人かは聞かなかったけれど)。
いやはやなんとも・・・熊野古道はすっかりインターナショナルなスポットなんですね。

円座石のあるところは中根という場所で、昭和三十年頃まで五軒ほどがあったところであるが、今となってはその形跡もほとんど残っていない。
そこからしばらく行くと古道の脇に東屋が現れ、どこから引いているのか水道があって水が取れる。
残念ながら、東屋の下は真ん中にテーブルとイスが斜めにデーンと鎮座していて幕営不可。問題は、東屋の周りにも幕営できるスペースがまったくないことだった。
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時間はたっぷりあるので、その先の楠の久保まで空身で偵察に行ってみる。
楠の久保は山の斜面の集落跡で、かつては旅籠もあった。旅籠は明治の終わり頃までやっていたようである。
棚田のように何段かに分けて広い平坦地がつくられていて、けっこうな規模の集落であったことがうかがえる。昭和三十年頃にはまだ六軒ほどに人が住んでいたということである。
今となっては広い平坦地と石垣以外に何も残っていない。
こういった集落跡というのは、住んでいた人が出ていくときに田畑や屋敷跡に植林していくのが常だったので、たいていの場合杉や檜が密生している。楠の久保も例外ではなく、今では立派な杉林になっている。
つまり、広い平坦地はあるのだが幕営は無理。間伐されていたとしても切り株があってどの道無理。もう少し疎林であればヨーロッパの森のようにこの上ないテン場となるのだけれど・・・。

水も休憩所でしか得られそうにないので、雨の中の停滞ということを考えるとなるべく休憩所の近くに幕営したい。
戻ってもう一度休憩所の付近を探索することにした。
楠の久保までの往復の間にもう一人、やはり那智のほうから歩いてきた人とすれ違った。先ほどの人といい、今日は小口まで下って泊まるのだろうか。

休憩所に戻り、さらにその下まで範囲を広げてテン場を探す。小山の上に出てみたり、道から斜面を少し下りたりしてみたが、やはり適当な場所はない。
水に関しては言うことなしの場所なのに・・・こうなると邪魔なだけの東屋がむしろ恨めしい。
結局最善の場所は、東屋のちょっと先にある古道脇の狭いスペース。そこを整地して幕営することにした。
問題はボコボコした杉の根っこ。枯れ枝や杉の落ち葉を拾い集めて敷き詰め、なるべく根っこを目立たないようにする。

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15:30、幕営完了!会心とはいえないが、どうにか許容範囲のレベル。フライの末端と固定の石が少々古道にはみ出してしまったが、まぁ勘弁してもらおう。それほど人も通らないだろうし。
こと水に関しては言うことなしのテン場である(右)。

16:00前、テントの中で日記を書いているとさらにもう一人、やはり那智のほうから歩いてきてテントの前を通過していった。

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Trackback [0] | Comment [0] | Category [■ 003_Nakahechi / 中辺路] | 2017.03.21(Tue) PageTop
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1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
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