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熊野古道から 2017冬 10日目 大雲取越から那智山(那智滝、青岸渡寺、熊野那智大社)

2017/2/10 金
始:7:20 ~ 終:16:20 雪ときどき晴れ 朝0℃
0530起/0720発(楠の久保手前休憩所) ~ (楠の久保) ~ (胴切坂) ~ 0855(越前峠) ~ 0930(石倉峠) ~ 0940(地蔵茶屋跡)1010 ~ 1100(色川辻) ~ 1120(舟見峠) ~ 1125(舟見茶屋跡)1145 ~ 1215(登立茶屋跡) ~ 1235(大雲取越登り口) ~ 1305(那智山) ~ (那智滝) ~ (青岸渡寺) ~ (熊野那智大社)1430 ~ (大門坂) ~ 1620(那智駅) ~ (Aコープ) ~ (那智駅) ~ (丹敷の湯) ~ 2200(幕営)

1:00頃トイレに起きたとき、あれだけびしょ濡れだったフライがすっかり乾いていた。夕方雨が上がった後もしばらく杉の木から雪の爆撃を受けていたというのに・・・日本でも森のマジックは健在だ。
もっともそのあと雪になったから、結局朝にはまた濡れてしまっていたんだけど・・・。

今冬最強の寒波が入り、強い冬型。天気は一日雪、ときどき雲が引くと晴れ間も見えた。
紀伊半島の南部、南国であるはずの那智勝浦にまで雪雲がかかっていたのだから、相当強い寒波でしたよ。今冬最強というのもあながち大袈裟でなかったかもしれない。

楠の久保まで再び登り返し、その先は越前峠まで胴切坂と呼ばれる坂道になる。長くてある意味退屈な石畳の上り坂(本宮から那智へ向うと)である。たぶん一般にはこういう石畳の坂道こそがもっとも熊野古道らしく、古道を歩くときのハイライトになるのだろうけど。
道は広く、道幅だけでいえば車が通れるほどの広さがある。歩きやすいのは間違いないのだが(足に優しいかどうかは別にして)、こういった広くて単調なところが退屈さを助長する。中辺路は全般的にそんな感じがする。

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それはともかくとして、雪の白と苔の緑、そして石の黒、三色のコントラストが実に美しい。

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登るにつれて雪が増えてきて、積雪は峠で5~6cmほど。(左)越前峠、(右)石倉峠。似ているけど違う場所。

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杉や檜の針葉樹に着いた雪が不思議な雰囲気を醸し出していた。スケールの大きい大自然の美。

石倉峠を越え、地蔵茶屋跡で林道と出合う。地蔵茶屋は大正時代まであったらしい。
ここには現在素晴らしい小屋があるが、残念ながら宿泊は不可。夜間は施錠される。
が、道路の反対側にトイレと東屋があり、外の適当な場所に幕営することは可能である。トイレの水は例によって冬は止まっているが、近くに沢があるので水には困らない。
ま、車もそれなりに通るであろう林道沿いなのであまり快適ではないし、下手なところに幕営すると車に轢かれかねないですが。

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(左)地蔵茶屋休憩所と、(右)道路の反対側にあるトイレと東屋

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休憩所の中はこんなに快適!

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地蔵茶屋跡から林道歩きが20分ほど、それから再び古道に入る。

色川辻からひと登りで舟見峠(一部木が伐られていて海がチラッと見える)、そしてその先に舟見茶屋跡がある。
舟見茶屋跡からの眺めは絶景だった。その名の通り、大海原を行く船が見える。
「紀伊名所図会」には次のようにある。
「山嶺より遠く海上を望めば嶋々の形態さながら刻むが如く、島かくれ行く帆船は恰も白扇を散らすに異ならず、その絶景筆紙に盡くしがたし」
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緑の山の先に紺碧の熊野灘がドーンと広がる。山中から忽然と現れる海が眩しすぎる。「おぉぉ・・・」という声しか出ない。
正面に望めるのが那智湾と那智勝浦の町、その右に見えるのが太地湾になるだろうか。

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舟見茶屋跡にも立派な東屋がある。ここに泊まったらきっと朝日がきれいだろうなぁ、冬は寒そうだけど。

着いたときはちょうど青空が広がっていて写真のような絶景が望めたのだが、そのうち雪雲が張り出してきて、15分もすると雪に煙って何も見えなくなった。
幸運だった。弘法大師のお導きか、とついついそんなことを思ってしまう。
「信じる者は救われる」とはよく言ったものだ。
もっとも今の世の中、「信じる者は掬われる」のほうが世相をよく表しているように思えるけど・・・。

昼頃から寒気が流入して寒くなった。
南国のはずの那智勝浦が雪に煙っているのだから非常に強い寒波だ。

越前峠からここまで、峠を越えても標高がほとんど下がらなかったのだが、舟見茶屋跡の先からようやく道が下り始めた。
那智大社や青岸渡寺のある那智山まで一気に下る。
途中にある那智高原公園(大戸平)は昭和五十二年に昭和天皇を迎えて植樹祭が催されたのを記念して整備された場所で、広大な公園となっていて素晴らしいテン場に見える。詳しくは見なかったが、たぶん幕営するのはOKだと思う。

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広大な那智高原公園の中

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さらに下って13:05に那智山に着いた。すごい雪だ。
三重塔の後ろ、那智滝が雪に煙る。雪の那智山なんてなかなか貴重なことなのかもしれない。

まずは那智滝へ下りてみたのだが、ちょうど滝の下に着いたときまたも青空となった。
なんてついてるんだ。やはり弘法大師のお導きか・・・。
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落差133m、一段の滝としては日本一を誇る。側壁は立っていて、これは確かに登攀意欲をそそられるのもわからないでもない。
水量が多くないのであまり迫力は感じない。夏場はもっと水量が多いのだろうか?

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落ち口付近のアップ

ちなみに、日本三大瀑布(三名瀑)というのがあって、那智滝、華厳滝、袋田の滝であるらしい。
袋田の滝はどうなの?と思ったら、特に定説というものはなく、那智滝と華厳滝が入っているのは定番として、あとのひとつには挙げられる滝が他にもいくつかあるようだ。

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滝もさることながら、滝周辺の原生林がすごくて目を奪われる。
隣の山(写真に写っていない)の杉、檜の人工林とは見た目がまったく違い、種々の照葉樹が鬱蒼と茂っている。

那智滝のあと、青岸渡寺と那智大社に参拝。
今では仏教の影が薄い本宮大社(明治政府による神仏分離令の影響)と違い、那智山は神仏混淆が色濃く、青岸渡寺と那智大社は仲良く並んで建っている(そんな青岸渡寺とていっときは廃寺となり、本尊仏も麓の寺へ出されていたそうだ)。

青岸渡寺からの滝の眺めもまた素晴らしい。上の写真は青岸渡寺からの眺めである。

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(左)青岸渡寺と、(右)熊野那智大社

青岸渡寺が西国三十三所の一番札所であることをはじめて知った・・・。
ちなみに、青岸渡寺は天台宗で、如意輪観音を祭っている。

参拝を終え、14:30に那智山を下りる。
表参道沿いには土産物屋などが並ぶが、季節がら閉まっている店も多くガランとしている。

大門坂は中辺路というか熊野古道の代名詞となっているような場所。
樹齢800年ほどにもなる杉や楠の巨木が石畳の道の両側に茂っていて壮観である。
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大門坂から先は基本舗装路で、足にくる。
南方熊楠が滞在した大阪屋旅館跡や、尼将軍(北条政子)供養塔などが途中にある。
那智滝周辺の原生林が今に残っているのは、南方熊楠の運動に負うところが大きい。
明治の末頃に滝周辺の原生林が伐採されようとしたとき(もちろんお金のために。このあたりの愚かさは日本国中いたるところで今も変わらない)、反対の世論を喚起したのが南方熊楠で、結果的に保安林とされて伐採を免れた。
現在は那智滝と同様に周辺の原生林も神社が管理をしている。

さて、本日の目的地は那智駅。鉄道駅に隣接した道の駅なち。
そこまで下りてしまうと道の駅以外にテン場は得られそうにないし、立地条件からして道の駅も快適とはほど遠い場所であろうが、たとえ寝る場所を犠牲にしてでもそこにある温泉というのは魅力的だった。
そんな思いを秘めつつ一路道の駅を目指す。

果たして道の駅に着いてみると、道の駅自体は幹線のR42に面していて幕営スペースもなく残念な感じだったが、目当ての温泉は確かにあった。
着いた時刻は16:20。温泉をのぞいて営業時間を確認すると、なんと!22:00まで入れる。これは入らない手はない。
道の駅は幕営するにはあまりに厳しい立地なので、ひとまず荷物をデポし、他にテン場を探しながら少し南に行ったところにあるはずのAコープまで買出しに行ってみることにした。

付近には他にスーパーがなさそうで、Aコープはたくさんの買い物客で賑わっていた。
いやぁ惣菜コーナーに並んでいる弁当や揚げ物がキラキラ輝いてましたね。幸い店内に飲食のできるスペースもある(もちろんレンジもある)。
ここで夕飯を済ませてしまおう、そしてのんびり温泉に入ろう。当然のごとくそんな話になった。
スープとふりかけ、行動食の買い出しを済ませ、本能の赴くまま、カキフライ弁当にサラダ巻き、さらにコロッケまで食べたら腹いっぱい。
テン場は結局他に目ぼしい場所がなさそうなので、温泉から出たあとトイレの横に適当に張ることにした。

温泉最高!
靴下など洗濯させてもらい、カメラのバッテリーも充電させていただいた。

21:00過ぎに上がり、トイレの横に幕営するのだが・・・風がものすごい。それでもトイレの建屋でだいぶ遮られているのだけれど、時どき風向きが変わって強烈に吹きつける。
風が強いのだがフライを張る術がない。が、びしょ濡れなので乾かすためにテントにかぶせ、四隅だけポールに固定。

夜の道の駅は車中泊の車やその他で大賑わい。温泉に入るときはまだそれほどでもなかったのだけれど、出たときにはけっこうすごいことになっていた。特にハイエースが多い。
車中泊の車が多く集まる道の駅とそうでない道の駅があるが、どうやらここは前者で、車中泊のしやすい道の駅であるらしい。つまり車中泊の人にとっては当たりの道の駅ということになるが、逆に歩き旅や自転車旅の人にとっては大はずれということになる。
しかも22:00過ぎになって、他にいくらでもスペースがあるというのに、よりによってなぜかテントの前の枠に車をとめ、それだけなら別にかまわないのだけれど、一晩中エンジンをかけっぱなしにしていた頭のおかしなハイエースがいて迷惑千万だった。
一度エンジンが切れてホッとしたのだが、どうやら運転手がトイレに行っていただけで、車に戻るとまたエンジンをかけるという糞っぷり。
寒くてエンジンを切れないような装備で車中泊なんかするなよ、と声を大にして言いたい。

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翌朝撮影。寒い上にうるさくて、というより排ガスの臭いが気になってあまり眠れなかった。

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1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
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