八溝山と雲巌寺

八溝山地は、白河南部から栃木と茨城の県境付近を南下している山地である。
厳密に言えばいくつかの山塊からなっていて、南は筑波山にまで至るとされるが、各山塊は谷や平地によって隔てられており、一般には白河南部から茨城の大子あたりにかけて広がる八溝山塊のことをそう言っている。
1,000m以下の山が連なるなだらかな山地で、その主峰が八溝山(1,022m)である。
山頂は福島と茨城の県境にあり、栃木県境からは僅かに外れている。
茨城県の最高峰であり、今回はじめて知って驚いたのだが、茨城県内唯一の1,000m峰である。

親父の出身地が、八溝山の裾野といっていい黒羽町(現大田原市)の須佐木であることから、ガキの頃から自分にとってもなじみの山であったけれど、これまで歩いて登ったことはなかった。
なぜなら、八溝山は山頂直下まで車で上がれてしまうからだ。
しかも、八溝林道、八溝山線林道、八溝山公園線(県248)と三方向から、いや、ダートの真名畑林道まで含めれば四方向から上がれてしまうではないか、今回改めて知ったけど。
親父など今でも車で行くところだと完全に思い込んでいるし、つられて自分もずっとそんなふうに思っていた。

久しぶりに車で走ってみたら、林道は細く、ヘアピンカーブの連続で、勾配もキツイ。
ふと思ったのだが、実はこの山は自転車で上るのが一番おもしろいかもしれない。
いつか自転車で走ってみたい、いや、走らねばならないだろう。そんなふうに思えてきた。
が、ひとまず歩いて登ってきたのでその記録。

日付: 2017/11/21(火) 晴れ
行程: (日輪寺入口P)0835 ~ 0900(日輪寺) ~ 0935(八溝山)1020 ~ (鉄水) ~ (金性水) ~ 1105(日輪寺入口P)

まずはアプローチについて。
R461(日光北街道)を東へ向かい、黒羽の那珂橋で那珂川を渡る。
大田原の市街地は大きく様変わりしていて、昔の面影はあまり残っていないのだけれど、那珂橋より先はあまり変わっていないように思える。
R461をさらに東へ行くにつれ、だんだん郷愁をそそる風景になってくる。
自分にとって田舎とは、田舎と聞いて頭に浮かぶのは、このあたりの里山の風景なのだ。いや懐かしい。

樹林の中の唐松峠を越えてしばらく下ると、道が二股になる。
馬頭へと南下するR461を右に見送って、県13を東へ。
さらにしばらく行くと、須佐木の交差点で再び道が二手に分かれる。
右に入って県13をそのまま行けば、袋田の滝(冬に運よく凍れば登れる)のある奥久慈へと通ずる。
八溝山へは、左の県321に入って雲巌寺へと向かう。

雲巌寺の前を通過し、そのまま北上。だんだん道が細くなってくる。
そのままずっと直進すれば、道は八溝山線林道となって、西側から車でそのまま山頂へと上ることができる(このときはたまたま工事で通行止となっていた)。
歩いて登る場合は、途中の分岐を右に上り(県28)、八溝山の南に回りこむ。
しばらく上ると栃木県境を越え、茨城の大子に入る。一本道をそのまま下っていくと、道が八溝川に沿うようになる。
さらに行くと、左に八溝神社の大鳥居が現れる。ここが八溝山の登山口。
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大子側からアプローチすると道路上に案内標示があるが、黒羽側からだと何もなく、突然鳥居が現れるので、見逃さないように。
付近にトイレと駐車スペースがあり、もちろんここに車をとめて登ることも可能。
が、その場合、ほとんどが八溝林道の舗装路歩きに終始する(ところどころに林道をショートカットする登山道あり)。
それはちょっとだるいので、八溝林道をしばらく車で詰める。道は細く、ところどころ勾配もキツイ。軽同士でもすれ違いはほとんど無理。

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しばらく上ると、日輪寺入口の駐車スペースがある。ここに車をとめて歩く。

道は二本あり、ぐるっと回ってくることができる。
今回は日輪寺のほうから登り、八溝五水の道で下りてきた。どちらから登っても、一時間ほどで山頂に着く。
道はいきなり少々不安になるほど下り、日輪寺へと登り返す。(今回と逆コースだと、最後に登り返して車に帰ってくることになる。)

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沢沿いに、わさび田の跡?と思しきものがあり、わさびが生えていた。
このあたりでは八溝わさびの栽培が行われている、と別の場所の案内板で見たが、今も栽培は盛んなのだろうか?

登り返して、車道(八溝山公園線・県248)を横切るところに日輪寺がある。
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坂東三十三箇所の二十一番札所である日輪寺。もちろん車で来ることも可能。

日輪寺からひと登りで山頂である(あっという間)。
ここでも車道を横切ると、まず八溝嶺神社がある。
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元治元年の天狗党の乱では、水戸天狗党の三百余名が神社に立てこもった。
また、日本赤軍が立てこもったこともある、と親父が話していたのだが、そんな事件があったの?

そして神社の上にあるのが、なんだこれは・・・というような展望台。
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数年前までは有料であったらしいが、現在は無料である。
見た目はあれだが、展望台に上がると360度の眺めがすばらしく、実にありがたい展望台ではある。

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展望台からの眺めはこんな感じ。
写真は西の日光方面で、男体山と女峰山、その手前に雲に隠れた高原山が見える。
北の那須連山、磐梯山、安達太良山は完全に雲の中。

驚いたのは南東の方角・・・
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「海、ですよね」
「そうですよね、やっぱ海ですよね」
「あのポコッと出っ張っているのが(奥久慈)男体山だから、鹿島灘になりますかね」
「地形的には見えてもおかしくないですもんね」

たまたま一緒に展望台に居合わせた男性に声をかけられ、海だと確信した。
男性は後から車でやって来たのだが、どこからですかと尋ねると、下野宮ということだった。八溝川を下ったところらしい。
地元の人が言うのだから間違いない。
まさかこんなところから海が見えようとは思ってもみなかった。

下りは八溝五水の道から。
八溝山はその名の通り沢が多く、水の豊かな山である。
説明板によると、「八溝山中の湧水群は、古来「三水」とも「五水」とも呼ばれ、「五水」とは「金性水」「鉄水」「龍毛水」「白毛水」「銀性水」をいい、いずれも徳川光圀公が命名し、光圀公は、特に「金性水」を賞味したと伝えられている。」

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これは金性水。せっかくなので汲んで帰ったが、すこぶる美味しかった。

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車のところまで下ってみるとこの通り、他に四台も車がとまっていた。この人たちとは下りの途中ですれ違った。
まさか平日に、山頂まで車で行けてしまう山に、こんなにも歩きに来る人がいるとは思わなかった・・・感心、感心。
往復二時間ほどの山なので、のんびりと遅い時間から登る人が多いみたい。

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山裾のほうにはまだ紅葉している木があった。写真は八溝神社大鳥居の近く。

【おまけ】
帰りに、久しぶりに雲巌寺に寄ってみた。
ここも自分にとってはガキの頃からなじみの場所であったが、来たのは何年ぶりだろう。
紅葉の美しいところなのだが、このときはすでに終わっていた・・・残念。

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恥ずかしながら、雲巌寺が臨済宗妙心寺派の禅寺であることを今回はじめて知った。
禅宗の四大道場の一つであるらしい。

こちらはもちろん知っていたが、松尾芭蕉と関わりの深い寺でもある。
芭蕉が「おくのほそ道」の旅で何日か滞在した。
・・・啄木も庵はやぶらず夏木立・・・

寺の境内は広く、付近をのんびり散策してみるとおもしろそうである。
ま、また次の機会にでも。

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これ、同じものがR461沿いにもあり、いつも目を引きつけられてしまう。

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Trackback [0] | Comment [0] | Category [■ 関東の山] | 2017.12.01(Fri) PageTop
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2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
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