養蜂っていいな・・・

「養蜂っていいな・・・」と思ったのは、ヨーロッパを自転車で旅しているとき。
ヨーロッパは養蜂が盛ん、というか日本より身近な感じで、森の中を自転車で走っていたり、森の中にテントを張ったりしていると、よく蜂の巣箱を見かけた。

泊めていただいた家の人が蜂を飼っている、なんてこともたまにあった。
ウクライナのユルジン宅には、庭にいくつも巣箱があったし、ウィーンのヴィルフリードのところでは、奥さんのアナが地域の人たちと一緒にビーキーパーをやっていた。

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(左)ユルジン宅の庭にあった巣箱@ウクライナ      (右)トレーラーの上で冬越しさせる巣箱@クロアチア

その後の西アジア、中央アジアでは、(おそらく気候条件から)養蜂を見かけることはとんとなかったが、フェリーで日本へ渡る前、韓国のヨンドン(永同)というところでお世話になったスンヒョンさんがたまたまプロの養蜂家で、2kgの自家製ハチミツをお土産にいただいたりした。

釜山からフェリーで渡った日本最初の地、対馬も養蜂が盛んなところで、蜂洞と呼ばれている独特の巣箱をあちこちで見かけた(対馬にはニホンミツバチしかいないらしい)。

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対馬の蜂洞・・・道路を走っていてもそこかしこで見かける

翻って、現在生活している長野県も全国屈指の養蜂が盛んな土地柄。
ま、長野に限らず、おそらく日本も山沿いの土地では養蜂が盛ん、ということだと思うけど・・・。

先日、仕事でミツバチの採蜜を手伝う機会があった。
百姓仕事を手伝っている人がなかなか多芸な人で、副業的に(というか半分趣味で)養蜂をやっている。
副業的といってもかなりの規模。
巣箱というのが、ひとつの巣箱に営巣用の仕切り板が8枚入っていて(板の両面に蜂が巣を作る)、それを二段重ねた二階建構造となっているのだけれど、そんな巣箱が三つの場所に分けて計22、23ほども設置されている。

このときは、そのうちの15ほどから採蜜を終えただろうか。
前回採蜜してから二週間ほどとのことであったが、なんと!80リットルほどものハチミツが収穫できた。
スゲー・・・。

主にアカシアのハチミツを狙っていて、このときはもうアカシアの花が終わっている時季だったけれど、これがアカシアの花の時季だと、三日でハチミツがいっぱいになってしまうという話。
めちゃくちゃ忙しい・・・。
と同時に、蜂ってすごい!と思わざるを得ない。

以下、写真が一枚もないのがなんなんですが・・・備忘録として、養蜂について知り得たことをちょっと書いておきます。

ここで飼われているのはセイヨウミツバチ(洋蜂)で、ニホンミツバチ(日本蜂)ではありません。
採蜜量や飼いやすさの違いから、いわゆる養蜂家と呼ばれる人たちが飼っているのは、ほとんどが洋蜂です。
日本蜂は、愛好家が趣味で飼っていることが多い。

洋蜂と日本蜂では習性が異なっていて、まず、このような一般的によく見かける、仕切り板を備えた巣箱で日本蜂を飼うのは難しいらしい。
日本蜂というのは、そもそも日本にいる野生のミツバチで、木の洞のようなところに吊り下げ型の巣を作る。
よって、日本蜂を飼うときの巣箱は、対馬の蜂洞のように丸太をくり貫いたものなど、要するに単なる箱であることが多く、仕切り板の類は備えていない。

アカシアならアカシアだけ、レンゲならレンゲだけといったように、単一の花から蜜を集めさせるのも、日本蜂では難しい。
ちなみに、日本でアカシアと呼ばれているのは本来のアカシアとは別で、ハリエンジュ(別名:ニセアカシア)をそう呼んでいることが多い。
春に香りのよい白い花をつけ、養蜂に利用されて「アカシア蜂蜜」などとされるのも、厳密にはニセアカシアです。
本来のアカシアというのは、アカシア属の総称ですが、熱帯から温帯にかけて特にオーストラリア大陸に多く分布していて、日本では関東以北では育たないとされている。

洋蜂が単一の花から集中的に蜜を集める性質が強いのに対し、日本蜂は雑多な種類の花から蜜を集めてきて(百花蜜)、その量も圧倒的に少ない。
基本的に年に何度も採蜜するということはせず、微量のハチミツしか採れない=(それが美味しいかどうかは好みがあるので別にして)希少価値が高いため通常、非常に値が張る。
ときどき目が飛び出るような値のついているハチミツもありますね。日本蜂のハチミツを好む人も少なくないのだと思う。

この手のハチミツはヨーロッパにもあり、ウィーンにいたとき、ちょうどタイガーバームくらいの小瓶に入ったハチミツをアナがプレゼントしてくれたことがあった。
確か、Wild BeeだかWild Honeyと言っていたと思うが、アナたちは洋蜂を使って百花蜜を採蜜していたわけであり、もらったそのハチミツは赤身がかっていて、濁った感じのものであった。味も独特だった記憶がある。

もうひとつ、洋蜂と日本蜂では決定的に違う点がある。
それは天敵のスズメバチに巣を襲われたとき。
日本蜂は、多くの蜂が連携してスズメバチを取り囲み、一斉に羽ばたいて熱でスズメバチを殺す、という芸当をやってのける。甚大な犠牲は強いられるが、これによって多くの場合、最終的に巣は守られる。
一方で洋蜂の場合、各蜂が単独で迎撃に当たるため、スズメバチに襲われると100%全滅してしまう・・・。

アナたちがやっていたように、ヨーロッパでも同じようにワイルドハニー(百花蜜)を採蜜しているわけだけど、飼っているのは洋蜂であって日本蜂ではない。日本蜂とはやはり習性が違うわけです。
日本蜂のこの習性のことはアナやヴィルフリードも知っていて、
「だから日本蜂はすごい」
と言っていた。

ミツバチっておとなしいですよね。
巣箱によっても差があるようですが、採蜜の時も基本的に刺されることはありません。
スズメバチやアシナガバチといった肉食の蜂と違って、ミツバチは一度刺すと内蔵直結の針が抜けてしまって死んでしまうから、当然と言えば当然かもしれませんが、よほどのことがない限り刺しません。
巣箱を開けられて大事な蜂蜜を盗まれるのはよほどのことではないのか・・・と思わなくもないですが。
何度でも刺せるスズメバチやアシナガバチでさえ無闇には刺しませんが、巣に近づけばすかさず襲われます。

ときに、働き蜂というのはすべて雌です。
雄蜂は針も持っておらず、刺すことさえできない。
交尾をすることしかできず、採蜜の目的で蜂を飼っている養蜂家の立場では、雄蜂は何の役にも立たない。かわいそうだが、雄蜂になる巣穴(雌蜂のものより出っ張っている)は、採蜜後に開けてしまう。
反対に、蜂の子を採るのが目的なら、雄蜂を優先的に育てるらしい。雄蜂の幼虫のほうが大きいから。

採蜜はどうやるのかというと、手動の遠心分離機を使う。
ちなみに日本蜂の場合は、洋蜂と違って仕切り板に営巣するわけではないので、採蜜にあたって遠心分離機を用いることはせず、巣ごと押しつぶして採蜜するという方法が採られる。

作業台は軽トラの荷台。
これがまたよくできていて、巣箱から出してきた仕切り板(両側に巣がある)の両端の突起の部分が、ちょうど軽トラの荷台とあおりの隙間に引っ掛かるようになっていて、これに引っ掛けて立て掛けたら、まず、蜂蜜の入っている巣穴の蓋を長刃の包丁で切り取る。
軽トラの荷台というのは、高さもちょうど具合がいい。

蜂蜜がつくと包丁が切れなくなるから、切っては包丁を湯に浸し、切っては湯に浸しを繰り返す。そのために、プロパンガスを使って、鉄の筒に常時湯を沸騰させてある。
ハニカムの巣穴を壊さないように、かつすべての蜜穴を開けるように、正確かつ迅速に作業を進める。
迅速に、というのは作業をしているそばから蜂が羽化してくるから。

ハニカムの巣穴の部分は、蜜が貯蔵されたところ、働き蜂になるところ、雄蜂になるところの三種に分類でき、このうち蜜が貯蔵されたところの蓋だけをうまく切り取る。
三種の比率は仕切り板ごとにバラバラであるが、蜜穴の多いものだと、仕切り板一枚(両側に巣)で一升瓶一本分くらいあるかな・・・というくらいズッシリ重い。

蜜穴の蓋を切り取ったら、仕切り板を遠心分離機(見た目はドラム缶みたいなもの)にセット。
対向して二枚セットしたら、ハンドルを回す。
このハンドルの回し加減(強さと時間)が意外と難しい。弱いと巣穴から蜂蜜が出ないし、強すぎると巣が壊れてしまう。

蜂蜜を取り出した巣は、最後に雄蜂の巣穴の蓋を切り取ってしまう。
同様に、王台も切り取る。

王台というのは女王蜂を育てる特別な場所で、通常のハニカムの部分とは別に、枠の端のほうに築かれる。
王台を開けると、中に入っているのがローヤルゼリー(まさにゼリー状)。嘗めてみると、すっぱいような味がする。
女王蜂と働き蜂というのは、実は元(卵の状態)は一緒で、幼虫がローヤルゼリーを食べて育つと女王蜂になるという摩訶不思議・・・。

ちなみに、ひとつの群れ(巣箱)に女王蜂というのは一匹しかいない。
もし、王台から女王蜂が孵って複数になると、分蜂といって、古い女王が働き蜂を引き連れて出て行ってしまう。
この性質を利用してミツバチを増やすわけでもあるのですが、通常、分蜂すると蜂がどこか遠くへ逃げてしまうわけであり、女王の数を適切に管理する必要があります。
養蜂においては、実はこの王台の管理をするということが一番大切なことであるらしい。

女王蜂は一日に1,000個以上の卵を生むことができる・・・。
ミツバチの群れは、多いと数万匹で構成されているようですが、蜜を集めるのも巣を作るのも驚くべきスピードです。
巣なんてもう隙間さえあればどこにでも作ってしまう勢いで、巣箱の管理をちょっと怠ると、隙間が巣で埋め尽くされて仕切り板も取れなくなってしまう。
その勢いで蜜も集めてくるから、アカシアの花の時季なんて確かに三日で蜂蜜が満タンになってしまう、なんてのもうなずける。
ホント、ミツバチってのはすごいですよね。どこかアリに通ずるものがある。

今回、700ccほどハチミツをもらって帰りました。それについてはこちらをご参考 → 小さな菜園のある暮らし
国産のハチミツなんて高くてなかなか食べられないので貴重です(笑)。
淡い色といい、スッキリした味といい、アカシア蜂蜜が一番好きですね、自分は。

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1970年生まれ。妻と二人信州伊那谷在住。
2009年10月~2013年5月の旅を記録するために”なかっぴー通信”をスタートさせました。
現在は伊那谷にて節約生活をしながら充電中。
2014年4月、ブログのタイトルを”なかっぴー通信NEO”に改めました。
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